ビリーブ 【 トラファルガー・ロー】

積もりゆく灰 ページ37

ローが作った昼食は各自メニューがばらばらだった。

それぞれに嫌いな食べ物を駆使し、自分だけ焼き魚と味噌汁と白米を用意した。


「ロー、反省が足りてねェようだな…」

「コラさん残すなよ？」


にやりと笑うロー。

コラさんには大嫌いなレタスをふんだんに使ったチャーハン。

レタスを入れたスープ。

レタスサラダ。


嫌がらせのオンパレード。

クルーもその被害を受け、もう二度と船長に作らせまいと思う。


Aは細かく刻まれた肉をどけていて、なかなか食べない。

まだ肉嫌いが治っていないようだ。


ほとんどをベポの皿にシェアして、スープ１杯飲んだのを見てほっとする。

それでも食べた量はとてつもなく少ない。


もはや習慣なのかAにサプリメントをあれこれ選ぶコラさん。

「飲んだらクッキーやるから」とかどんだけ甘いんだと思う。


クルーとAが食器を片付けている間にそれを指摘すると

「一度大喧嘩になって３日間食事を拒否された」

無理矢理口に押し込んで、飲み込ませようとしたらしい。


ローはオペオペの実を食べさせられた記憶が蘇る。

無理矢理噛まされ、口を塞がれて飲み込まされたのだ。


「やり方ってもんがあんだろ」

「じゃあローは食わせられんのか？」

「……」

「な、無理だろ？」


シャンブルズで可能だがそれは食事とは言えない。


午後はAの検査の為に船に戻る。


『懐かしい』

「これからお前が乗る船だ」


医務室は充実した品揃えでローの実力が上がった事がよく分かる。

血液検査、レントゲン、血圧と一般的な検査で終了した。


「結果はすぐには出ねェ、まあ、急ぐ事もねェ」

『なんだか色々ありがとうございます』

「普通だ、いちいち礼を言うな」

『はい…』

「ま、礼がしたいならキスでいい」

『またそれですか』


眉をハの字にして困る顔。

左腕をさするしぐさも変わっていない。

そして手だけの間接キスを『はい』とする。


Aも変わっていなければローも変わっていない。


もちろんその柔らかい唇を堪能する、

自分のテリトリーのせいか大胆だ。


きつくなるデニムに圧迫されたその腰を押し付ける。

外気に晒される事のなかったAの肌にもっと触れられる様に。


あっという間にAに侵食された脳が更なる刺激を求める。

Aの体に自分の形だけを刻み込みたい。


いつになったらこの想いは成し遂げられるのか。

焦がれ、燃えるほどに募る灰の山は大きくなる。

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