名乗れない名前 ページ14
『あの…私は一旦って言ってましたよね？
この足が治ったら本当に島に戻してくれるんですか…？』
シャチは不思議に思う。
ペンギン曰く船長は治療に当たらなかったと。
そして船長命令でジャンバールと喋らせ
気を楽にさせろという指示も全く無意味。
ジャンバールを知らないなら
この船に居る誰もが初対面。
「ベッドに戻って名前教えてくれたら、船長にそれ聞いてくるっス」
目をまん丸にさせるリリス。
今の海賊は名前を教えるのが流行してるのだろうか、
それとも名前を教えると能力が使える能力者かなとアレコレ考える。
どちらにせよ、リリスは名前を捨てろとレイリーに言われたばかり。
『あの…名前…ないんですけど…』
シャチはまた墓穴掘ったかと焦り
「じゃあベッドに戻るだけでいいっス！」
条件をあっさり１つ取り下げた。
オークションに居たんだ、事情があってもおかしくないと納得した。
足首は固定してあり動くのはつらいだろうと手を出すと
また驚いた顔をされシャチも少々傷つくがニッと笑えば
『シャチ…ありがとう…』
名を呼ばれその手を委ねてくれただけで
シャチは舞い上がる程嬉しくて堪らなかった。
赤子の様に柔らかい肌に小さな手、
甘い香りが何にも勝る癒しを与えてくる。
「(人間とは思えない位…超可愛いっス！)」
この時間が永遠と続けばいいのにと思う程。
「い、痛くない…っスか？」
『少し、でもすごい上手な手当てのお陰で全然平気です』
「手当てはペンギンがしたんっス！ 後で連れて来るっス！」
『え、あ、はい…』
ベッドに座らせるとギュッと手を引っ張られ
「ん？」と顔をシャチが向けると真剣な顔で言われる。
『船に乗らなきゃいけないんです。
海を渡らないといけないんです。
ゆっくりしていられないんです。
お願いです、牢屋から出して』
「え……牢屋？」
『だってここは牢屋でしょう…？』
「牢屋じゃねェ、潜水艇…海に潜って進む船の事だ。
お前に名前がねェ？ まァ…名乗っちゃいけねェのは確かだがな」
扉の向こうからローの声が聞こえた。
その瞬間からリリスの体は哀れな程ガタガタ震え
悲鳴をあげない様に両手で口を塞ぎギュッと目を瞑る。
『( “ Ｄ ” …！！ 来ないで…！！)』
遥か昔の時代
“ Ｄ ” に殺されていた筈のリリス。
愚かにも命を愛しいと思ってしまった過ち
本来この地に存在してはいけなかった神の子。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 282人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆーじ - りらりら。さん» うはっ！バレないと仕込んだプロフすぐ見破られてしまった！さすがりらりらちゃん…ッ！あと２時間経てばゆー爺に変身してくよ！メリー「迎えにきたよ」でメリィィイイイ！！ってなったなー。「暗いからな沈む迄見ててやる」の時は何かもう言葉が出てこなかったよー！ (2017年10月24日 21時) (
レス) id: f6a5d4b00c (このIDを非表示/違反報告)
りらりら。(プロフ) - 後半四個のゆーじさんの紹介笑いましたwwwゆー爺www (2017年10月24日 19時) (レス) id: 0e18b1c72e (このIDを非表示/違反報告)
りらりら。(プロフ) - ゆーじさんの感受性と発想に感動してます…！ (2017年10月24日 19時) (レス) id: 0e18b1c72e (このIDを非表示/違反報告)
りらりら。(プロフ) - ゆーじさん» ゆーじさんごめんなさーい！(T-T)最近忙しくって…レスもできずすいません！お話が盛り上がっている…！エースつらいですよねー！一番泣いたのはメリーですが、エースも負けないくらい泣きました…！愛してくれてありがとうってなんだよー(T-T) (2017年10月24日 19時) (レス) id: 0e18b1c72e (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - あざみさん» 気のせいだよー！自分なんかが…。今続編のプレイリスト作ってたよ！移動時間も節約有効活用！くーっ！今週きびすぃ…！！でもストック作っておいたから最低１話は投稿するよ！もし良かったら続編でまた会おうね！応援してくれてありがとだよー！ (2017年10月24日 17時) (レス) id: f6a5d4b00c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆーじ | 作成日時：2017年9月30日 8時
