人に成す術なし ページ9
「シャチ！ Aちゃんを広間へ！」
「うっス！！」
「俺は船長に指示を貰ってくる！！」
ペンギンですら壁に手をついて歩かなければならない程のひどい揺れ。
『何！？ スピード上がってない！？』
「まるで渓流下りだな！！ ちゃんと捕まって！！」
『あ…シャチ……！』
「しっかり捕まれって！！」
『力が…入らない…』
「え！？」
貧血を起こした様に床にぱたりと横たわるA。
「どうしたんだよ！？」
『このガス…霧…海みたいに濃い…』
シャチがAを掴んではいるが、揺れで左右へずずっと動かされてしまうA。
もしかして船長も、と思えばペンギンがシャチを大声で呼んでいる。
「ちょっとごめんな！」
シャチはAをおぶって操舵室に向かうと予想通りローも力が抜けへたっていた。
「シャチ！ Aちゃんもか…！！」
「海みたいに濃いこのガスのせいで海にいるみたいだって言ってたっス！！」
「クソッ…エンジンを切れ…スクリューがやられる…」
部屋の隅で何とかバランスを取りローが指示する。
「シャンブルズでこの海流から出ようとしたら、キャプテンの力が抜けちゃったんだよ！！」
「ベポもっと舵押せ！！」
「やってるよー！！」
『このまま…逆らわないで…』
「でもAちゃん、このままじゃ航路外れちゃうよ！！」
『記録に書いてあった…』
ぜんしん は とぐろなり
向かう は ドクロなり
逆らう は むくろなり
『見て、航路を外れつつ船は大きく螺旋している…中心にクラニオ島があるんだよ』
「ぜんしん…体の事かと思ったが、進むの前進か」
力の抜けたローとAだが頭に詰め込んだ知識は鈍ってはいない。
「でもこれ…島に向かってるならいいけど…出る時どうするんだ？」
ペンギンが冷や汗を垂らしながら霧で視野の悪い外を見ながら不安そうに聞く。
「潮の流れは時間で変わる…運が良いのか悪ィのか…それに乗れたみてェだ」
『到着して７時間でログが変わる…潮の流れが変わる時間にはぴったりだね』
逆らう は むくろ―――――
「どっちにせよ船は自力じゃ動かせねェ」
「いつ着くんだろう…？」
「さァな、能力も使えねェんじゃ波に任せるしかねェ」
『これじゃあ確かに文字書けないねー…」
なにせ揺れが凄まじい。
「中心の目星をつけて見張ってろ」
ローとAは物がぶつからない様に広間に移動させられた。
自然の猛威を前に
人間は成す術がない。
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ももか - １の後半から涙が止まらなかった、素敵な作品をありがとうございます! (2022年10月21日 0時) (
レス) @page24 id: ac673f01f1 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - １の後半から涙が止まらなかった、素敵な作品をありがとうございます! (2022年10月21日 0時) (レス) @page24 id: ac673f01f1 (このIDを非表示/違反報告)
蘭々(プロフ) - 最期泣きました。この作品に辿り着けて本当に良かったです。ありがとうございます。 (2021年9月11日 13時) (レス) id: f3d7422dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - エリカさん» 作品を読んで感想までくれて嬉しいです！！ありがとうございます！！ゼファー本当に男…！！こんなおっさんになりたいです！作者様なのですね！？しかも殿堂作者様…！！寝る前にガッツリ読ませてください！！ ああもう楽しみ過ぎるー！！ありがとうございます！！ (2017年9月11日 20時) (レス) id: f6a5d4b00c (このIDを非表示/違反報告)
エリカ(プロフ) - めっちゃ良かったです！！思わず涙がでてしまいました...。ゼットいいお父さん。ゆーじさんの書くロー超イケメン...。これからも頑張ってください´`* (2017年9月10日 9時) (レス) id: 720530e6d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーじ | 作成日時：2017年5月23日 14時
