島から去るには ページ18
『ロー！！ お父さんの手を手当てしてあげて！！』
「A、ゼットはもう…死んでいる…手当ては…効果はねェ」
『お父さんは死んでない！！ ここに居るじゃない！！』
Aはクラニオ島の誘惑にのまれ
完全に頭が現実を拒否していた。
「もう２時を回った…出航の準備を始めるぞ」
『…何を…言ってるのロー…』
「洞窟を出るのに１時間、船の点検に３０分、これ以上この島には居られねェ」
『私はここに残る！！』
クラニオ島の甘い罠。
会いたくて、逢いたくて堪らない人に会えて
「じゃあ」と去れる者は少ない。
こうして仲間割れをして殺し合い
手に負えないと仲間を置いていく
クラニオ島の悲劇はこうして生まれる。
「はいそうですかと俺が置いていくと思ってんのか」
『なら…こうする…』
一度も当たった事のない銃をローに向けるA。
「Aちゃんやめろ！！」
シャチが叫ぶが、Aを邪魔する者は
今はAの敵にしか見えないのだ。
「その肩は自分で撃ったのか」
『ローには関係ない』
ゼファーの焦げた手をだらりと垂れた左腕で
それでも握って離さないA。
ゼファーは唇を噛みしめ
Aの手をじっと見つめ葛藤している。
ここにいる魂達だって
会いたくて、逢いたくて
何年も何年もその人を待つ。
ゼファーもクラニオ島の誘惑に惑わされている。
「力ずくでも船に乗せてこの島を出る」
『イヤ！！ お父さんともう離れたくない！！』
ローは息を止め、Aの思いを受け止める。
１０秒…２０秒…そして大きく息を吐いて…
「
Aの銃を奪う。
『…ッ！！』
他に武器のないAはゼファーの腕に抱きつく。
『置いていって！！ 放っておいて！！』
「この島の資料を見ただろう、A、惑わされるな」
ローは傷のない方の右腕を捕み
ゼファーから引き剥がすロー。
『イヤ！！ イヤ――――！！
お父さん助けて―――――！！』
心からの叫びにローは罪悪感さえ感じるが
これがこの島から生き残れない理由なのだ。
「A…」
Aの感触がなくなったゼファーは悲しそうにその名を呼ぶ。
「行きなさい…早く…この島から去るんだ」
喉をしめられた様に苦しそうに言うゼファー。
心が切り離される思いを飲み込んでローに言う。
「太陽に向かって船を進めれば波に乗れる。
島を振り返ってはいけない…皆が大人しい魂とは限らない」
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ももか - １の後半から涙が止まらなかった、素敵な作品をありがとうございます! (2022年10月21日 0時) (
レス) @page24 id: ac673f01f1 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - １の後半から涙が止まらなかった、素敵な作品をありがとうございます! (2022年10月21日 0時) (レス) @page24 id: ac673f01f1 (このIDを非表示/違反報告)
蘭々(プロフ) - 最期泣きました。この作品に辿り着けて本当に良かったです。ありがとうございます。 (2021年9月11日 13時) (レス) id: f3d7422dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - エリカさん» 作品を読んで感想までくれて嬉しいです！！ありがとうございます！！ゼファー本当に男…！！こんなおっさんになりたいです！作者様なのですね！？しかも殿堂作者様…！！寝る前にガッツリ読ませてください！！ ああもう楽しみ過ぎるー！！ありがとうございます！！ (2017年9月11日 20時) (レス) id: f6a5d4b00c (このIDを非表示/違反報告)
エリカ(プロフ) - めっちゃ良かったです！！思わず涙がでてしまいました...。ゼットいいお父さん。ゆーじさんの書くロー超イケメン...。これからも頑張ってください´`* (2017年9月10日 9時) (レス) id: 720530e6d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーじ | 作成日時：2017年5月23日 14時
