クラニオ島の罠 ページ15
『今はサカズキ元帥で海軍は動いてます…サカズキ元帥はゼット先生とは違う…
海賊を１人たりとも許さない…市民に頭を下げる海兵を潰そうとする…
何も変わってないんですよ…』
「時を待て、すぐに時代は変わるものじゃない」
ぐっと拳を握るA。
『ゼット先生…私がここに居たらゼット先生とずっとお話しできますか…？』
「…A、それはこの島の誘惑だ、もっと言うなら罠だ」
『ローの所へ戻っても…私は戦力にもならない…』
「俺に誓った事を忘れたか？」
病める時も、健やかなる時も、
喜びの時も、悲しみの時も、
富める時も、貧しい時も、
トラファルガー・ローを愛し
敬い、慰め、助け、
命ある限り、真心を尽くすと…
『…誓いました、でも、慰めも助けも出来ていません』
あまりに無力。
『命ある限り愛し真心を尽くしても…私は弱い』
「そんな事はない」
ゆっくり壁に手をつき
ふらつきながらも立ち上がるA。
この島に危険に感じ持って来た銃を手にする。
『だって…ほら…』
自らの左腕の鎖骨と肩の間に銃を付きつけ
ためらいなく発砲するA。
「よせA！！！」
一歩ふらっと後ろに下がったが
何とも悲しい顔でゼファーを見つめ
『これだけですごく痛くて…戦えなくなっちゃう…
これでローを…皆を守れますか？』
最初は点の様な血が次第に広がり胸の下まで服が血に染まる。
そんな事は気にもせず
ただただ下がった目尻から涙を流し続けるA。
ガガ…ガ…とAの電伝虫がコール音を発するが
電波状況が悪すぎて通信出来ない。
「A！！ 心をしっかり持て！！」
『ちゃんとしてます、先生も見たでしょう？ こんな弾、ローなら簡単に避けれるのに』
「クラニオ島の誘惑に負けるな！！ 俺はもう死んだんだ！！」
『…だから私も…それに私が居なければロー達に迷惑が掛からないから…』
Aは自分の脆さに気が付いた。
ずっと１人でいた生活で誰にも気を使わず海軍を騙し続けた。
いざ心許せるローと気持ちが通じたら
自分のせいでローに何かが起きたらという
どうしようもない責任感に潰されかけていたのだ。
『ゼット先生…虹の橋で会いましょう』
クラニオ島の悲劇
何人がここで愛する人とまた一緒になろうと命を絶った事か。
脱出してもその後にノイローゼ、
もしくは自分に価値を見出せず命を落とす者も多い。
この島の現象は幸せも不幸せも合わせ持つ。
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ももか - １の後半から涙が止まらなかった、素敵な作品をありがとうございます! (2022年10月21日 0時) (
レス) @page24 id: ac673f01f1 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - １の後半から涙が止まらなかった、素敵な作品をありがとうございます! (2022年10月21日 0時) (レス) @page24 id: ac673f01f1 (このIDを非表示/違反報告)
蘭々(プロフ) - 最期泣きました。この作品に辿り着けて本当に良かったです。ありがとうございます。 (2021年9月11日 13時) (レス) id: f3d7422dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - エリカさん» 作品を読んで感想までくれて嬉しいです！！ありがとうございます！！ゼファー本当に男…！！こんなおっさんになりたいです！作者様なのですね！？しかも殿堂作者様…！！寝る前にガッツリ読ませてください！！ ああもう楽しみ過ぎるー！！ありがとうございます！！ (2017年9月11日 20時) (レス) id: f6a5d4b00c (このIDを非表示/違反報告)
エリカ(プロフ) - めっちゃ良かったです！！思わず涙がでてしまいました...。ゼットいいお父さん。ゆーじさんの書くロー超イケメン...。これからも頑張ってください´`* (2017年9月10日 9時) (レス) id: 720530e6d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーじ | 作成日時：2017年5月23日 14時
