どうして、なぜ ページ13
「ほら、足がふらいついてるぞ、ちゃんと座っておきなさい」
『だって…見て欲しくて…ヒック…ぅぅぅ〜〜〜ッ！！』
ぺたんと地面に座るA。
壁からは離れず懐かしく、尊敬していた時のままの顔のゼファーをまじまじと見る。
『先生腕が…』
「ああ、こっちに来ると不自由や痛みに苦しんだ皆も元気な体を取り戻すんだ」
『本で見た事があります “ 虹の橋 ” ですよね』
「はははっ、本当にあったとはな、てっきり俺は地獄へ行くと思ってた」
『ゼット先生が地獄なら、天国に行く人なんて１００年に１人いるかいないかですよ…』
ゼファーも胡坐をかいてAの視線の高さに合わせる。
壁越しだが２人は手を合わせたまま会話を続けた。
『私…能力も戦闘技術もなくて…役に立てなくて…皆の邪魔でしかなくて…』
「トラファルガーはそう言ったか？」
『ローもクルーの皆も優しいから言わないだけで…きっとそう思ってますよ…』
「……」
『…私も…もう…ゼット先生の所に行きたい…』
言わずに心に溜めた不安が積もりすぎて
Aは誰にも言えない気持ちをゼファーに打ち明ける。
堪えても息を少し吐くだけで喉から勝手に嗚咽がもれてしまう。
苦しそうなAを見てゼファーの心が痛む。
「Aの能力は寿命を使い果たす…そんな事は俺もトラファルガーも望まない」
『でも何も出来ない私は…居ても居なくても同じなんです！！』
「甘えるんじゃない！」
ゼファーは声を荒げる。
「訓練しろ！ 体がボロボロになるまでやるんだ！！ たった１年で弱音を吐くんじゃない！！」
『してます！！ リハビリも！！ 銃の訓練も！！
でもグランドラインを渡るのは普通の体の男の人だって無茶な航海なんです！！』
動かなかった足、上がらなかった左腕
それを懸命に訓練しても「遅い」の一言で片付けられる。
『殺してくれって言ったじゃないですか…！！
どうして能力を奪って、殺してくれなかったんですか！！』
ゼファーが見える岩を両手で殴るA。
『そうすればゼット先生と今一緒にそこに居れたじゃないですか！！』
本音と八つ当たりも混じって
岩で切れた手から滲む血をゼファーは止めてやれない。
『ここに残ってゼット先生と一緒に…ローが来る時まで私も自由な体になりたい！！』
クラニオ島の恐ろしさはこれだ。
心の不安、悩みを一番尊敬する大切な人に打ち明け
「いっそ楽になりたい」
そう望んでしまう者が数多くいる。
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ももか - １の後半から涙が止まらなかった、素敵な作品をありがとうございます! (2022年10月21日 0時) (
レス) @page24 id: ac673f01f1 (このIDを非表示/違反報告)
ももか - １の後半から涙が止まらなかった、素敵な作品をありがとうございます! (2022年10月21日 0時) (レス) @page24 id: ac673f01f1 (このIDを非表示/違反報告)
蘭々(プロフ) - 最期泣きました。この作品に辿り着けて本当に良かったです。ありがとうございます。 (2021年9月11日 13時) (レス) id: f3d7422dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーじ - エリカさん» 作品を読んで感想までくれて嬉しいです！！ありがとうございます！！ゼファー本当に男…！！こんなおっさんになりたいです！作者様なのですね！？しかも殿堂作者様…！！寝る前にガッツリ読ませてください！！ ああもう楽しみ過ぎるー！！ありがとうございます！！ (2017年9月11日 20時) (レス) id: f6a5d4b00c (このIDを非表示/違反報告)
エリカ(プロフ) - めっちゃ良かったです！！思わず涙がでてしまいました...。ゼットいいお父さん。ゆーじさんの書くロー超イケメン...。これからも頑張ってください´`* (2017年9月10日 9時) (レス) id: 720530e6d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆーじ | 作成日時：2017年5月23日 14時
