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Aのほど近くの空間が不自然に歪んだと思えば、足元のおぼつかない男が一人虚空から現れた。肌の色はくすみ、生者ではありえない欠損を持つそれは確実に死人だった。
｢……ん、の！｣
大先生の銃が男に命中するが、ほとんど手応えはないようだ。それでも多少動きは鈍くなっているので効かない訳ではないらしい。
｢人の旦那を撃つのやめてくれないかしら｣
例えるならそれは油断した背中に雪の塊を押し当てるような、銃口をいくつも心臓に突きつけられるような、そんな恐怖だった。後ろを振り返ることすら忌避されるような、生物としての明確な強者の気配。指先のひとつも動かせない中で、男はAの首を素手で貫いた。
｢……ぁ｣
彼女は何も言わなかった。断末魔の1つすら上げられず、抵抗らしい抵抗をすることも無く呆気なく息絶えた。また、伝えられないまま、彼女は。
｢今取り出して上げるからね、あなた｣
甘い香りの中に男から移ったであろう腐乱臭を漂わせた女がAに近づいていくのを、俺達は見ていることしか出来ない。その後ろ姿は雪の中に現れた魔女そのもので、つまるところAの母親に違いなかった。
｢さああなた、これで永遠に一緒よ……｣
Aの胸部をなぞる細い指が唐突にめりこみ始め、勢いよく引き抜かれた手には赤い肉塊が握られていた。力なく崩れ落ちたAはもう二度と俺達の元に戻らない。それどころか俺達の命も風前の灯だ。
｢どうかしら。……ふふ、美味しい？｣
肉塊を受け取った男がおもむろにそれを口に運ぶと、崩れそうな顎を抑えて咀嚼した。きっとAが1番望まない終わり方だった。こんな無様な、尊厳もクソもない終わり方、あの優しい魔女は望まなかった。
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全世界にプロメア観覧を義務付けたい。はちゃめちゃに良い。気がついたらパンフとサントラ買ってた。プロメアをよろしくお願いします。
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旱(プロフ) - 占いツクールでまさかこんな素敵な作品に出会えるとは思いませんでした…話もちゃんとしていて楽しく読ませていただきました。魅入る者を作った作者さんと同一人物だったとは…素直に高評価です。 (2019年7月24日 12時) (
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年5月26日 19時
