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｢……あら、Aのペットくん達じゃない。ご主人様はいなくなったんだし、私に尻尾振ってくれるなら命だけは助けてあげる｣
蛇に睨まれたカエルというのはこんな気持ちだろうか。情けないことに惚れ込んでいた女の敵を目の前にして足を震わせている。
｢……綺麗なおねーちゃんやな！旦那さんが羨ましいわホンマに｣
あっけらかんと言い放ったのは大先生。彼の行動の真意は分からないが、Aの母親は満更でもなさそうに微笑んでいる。未だ腐敗の止まらない男に絡みつくとその耳元に何事かを囁き、幸せそうにクツクツと笑った。
｢お上手ね軍人さん。でもね……主人が男の子は嫉妬するからダメって言うのよ。だからごめんなさい、さっきの話は無しにしましょう！｣
｢ええで、僕も元からそのつもり無かったし｣
強気に出る大先生を訝しげに見つめたが、数秒おいて言葉の意味を理解した瞬間激しい怒りに染まる。男に再び何かを伝えようとしたのか、彼女が俺達から視線を外した一瞬の間にそれは起こった。
｢…………っ、え｣
左の脇腹を抉られ、首を貫かれ、心臓を抜き取られたAが動いた。予備動作も何もかも無しに母親に飛びつき、その首に腕を回して抱きつくと血糊に塗れた口で何かを呟いた。
｢ひっ、やめぇ、〜〜〜〜〜〜！！｣
何が起きているのか、今まで様々な奇跡を目の当たりにしてきた俺たちでも理解の及ばない状況がそこにはあった。母親の背中から飛びついたAの身体は余すことなく炎に変わり、まとわりついた炎は留まることを知らぬまま母親を焼いていく。魔法で出された水を被っても消えることはなく、為す術無く彼女は崩れ落ちた。
｢すまんなぁ。綺麗な女性には優しくしたいんやけど、性根が醜いとやっぱ無理やわ｣
いつもの飄々とした薄笑いを浮かべた大先生が愛銃を構え、特に何の感慨も無いまま魔女を撃ち抜く。炎は魔女の命が尽きると共に消え、あとに残ったのは燃やし尽くされた女の残骸だけだった。
｢……これで良かったん？｣
｢こうするしかなかっただろう｣
指先ひとつ動かせなかったはずの重圧は消え去り、もう二度と聞くことは無いと思っていた声を頼りに視線を向ける。
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旱(プロフ) - 占いツクールでまさかこんな素敵な作品に出会えるとは思いませんでした…話もちゃんとしていて楽しく読ませていただきました。魅入る者を作った作者さんと同一人物だったとは…素直に高評価です。 (2019年7月24日 12時) (
レス) id: 601b9a7554 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年5月26日 19時
