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俺の言葉に答えたのは、魔女3人分の返り血と多少の砂埃にまみれたAだった。言語が不要になった、物言わぬ屍となった魔女の残骸を意にも介さないAは濡れた刀を降って血を払うと足元に何かの魔法を展開したようだった。
｢何したん｣
｢気にしなくていい｣
Aが見上げた空には既に月が昇りきっており、かと思えば夕方のように空が朱く染まっている。幼少期に起こったはずの暁の果ては生憎の天気で、これを見るのは初めてだった。
｢お前人望無いんとちゃう？｣
｢言うなよ……｣
言いながらAは魔法を使い始め、城の周りを薄い膜のようなものが覆っていく。恐らく魔女の手からここを遠ざけるための障壁だろう。
｢鬱先生｣
ん、と拳を突き出される。何、何なんだこれは。
｢手出して｣
｢あ、ああ……言ってくれよ……｣
言葉の足りなさと後出しにおいて他の追随を許さないな本当に。掌を拳の下に差し入れれば、Aの手から溢れたのはいくつかの銃弾だった。
｢私に当てるなよ｣
｢はー、そういうヤツか｣
｢使わないで済むのが理想だけど、お守りくらいに思って｣
魔女に対抗する何かが含まれているであろう銃弾をスナイパーライフルとハンドガンのマガジンにそれぞれ装填し、有事の際すぐに撃てるよう準備をする。最前線での指令には魔女と交戦しないように、というものがあるが本陣はそうもいかない。
｢とりあえず北部を確保してくる｣
｢はいはい｣
Aが忽然と姿を消す。要するに行方不明扱いになったことを撤回する連絡は俺がやれと言うのだあの我儘魔女は。
｢ほんま女に振り回されるなぁ｣
初期よりも嫌悪感を感じなくなったのは己が女好きのなせる技か、或いはあの不器用な魔女にいつの間にか絆されていたのか。
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旱(プロフ) - 占いツクールでまさかこんな素敵な作品に出会えるとは思いませんでした…話もちゃんとしていて楽しく読ませていただきました。魅入る者を作った作者さんと同一人物だったとは…素直に高評価です。 (2019年7月24日 12時) (
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年5月26日 19時
