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『総統府より幹部伝達！』
気味の悪い敵兵も、生命が失われればそれ以上何かがあるわけではない。確実にナイフで首をなぞっていけばいいだけの話だ。戦場にいる兵士たちもその異常性にある程度慣れ、事前の予想通り優勢に傾き掛けていた時、その通信は最悪の事態を告げた。
『最終防衛ラインが崩壊しました……！現在彼女の生死は確認出来ていません』
通信の後半にビクリと身体を固めたショッピくんに迫る剣を払い、嫌な音を立てる心臓を抑え込んで続報を待った。Aは夕方アゲラタム教会に赴いて、北の陣営を後方からサポートする手筈になっていた。月が上り始めてからまだいくらも経っていないが、暁の果てが影響しているのかいつもより数段明るい時間が長い。
｢ゾムさん、おかしくないですか｣
｢集中せえショッピくん！｣
｢魔女は俺達の戦場と近い場所で開戦する予定じゃありませんでしたか！いつもと変わらない戦場が続くのはおかしい！｣
ハッとする。Aが見せてくれた魔法は派手なものではなかったものの、人知を超えたものばかりであった。ましてや国一つ燃やせるような代物がある中で、ここまで静かで変化が無いのは確かにおかしい。まるで、この近くでは何も起こっていないかのような。
｢ま、さか｣
我々国の首都には教会なんて腐るほどある。その中でも目立たない普通の教会を選んだはずだった。開戦してからここまでのスピードで本陣がピンポイントで狙われたということは、情報が漏れている可能性が高い。
｢北の陣営って、今、存在しているのか｣
もし揃って南に寝返っていてAを貶めようとしていたら、この周辺では戦いは起こらないし本陣を狙い撃つことも出来る。
｢Aさんが参加してた会合が全部嘘なら、最悪南北で挟み撃ちになりますね｣
｢しかもAがどこにおるんか分からんねやろ！最悪やないか！｣
城を出た時のやり取りが最後だなんて信じたくない。俺はまた大事なことを後回しにして手遅れになっている。Aのことを何も知らなかった時から、何も学んでいない。
｢ショッピくん、将軍討ち取って首都へ引き返す！｣
｢っす！｣
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旱(プロフ) - 占いツクールでまさかこんな素敵な作品に出会えるとは思いませんでした…話もちゃんとしていて楽しく読ませていただきました。魅入る者を作った作者さんと同一人物だったとは…素直に高評価です。 (2019年7月24日 12時) (
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作者名：志摩 | 作成日時：2019年5月26日 19時
