【歌い手】 優しさを知らない少女の歩む道には。

二十二歩... ページ29

最近、どうも様子がおかしい。


頭の中によぎる、男の子。
誰なのか、友達だったかさえ知らない。
でもその子が頭をよぎると、
どこか悲しく、でも暖かい気持ちになる。


るす「A、どーしたん？
急にぼーっとして。」


コテン、と首をかしげて伺う、るーくん。
ほらこの仕草、懐かしい。
いつも＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿


何だっけ？



思い出せそうなのに、全然わからない。
すごく気持ち悪い。


貴『なんか、何だろ、考え事かな。』


いつも一緒にいて、
ふにゃっと笑った顔が可愛くて、
何気ないしぐさに女子力を感じる、あの子。


どうして思い出せないんだろう。



まふ「ねぇ、ちょっといい？
話があるんだけど。」


貴『ふぇ!?あ、は、はい...。』


びっくりした。
いや、“まふくん”に話しかけられたからもあるけど、
それ以前に、この方私の事めっちゃ嫌ってるっぽいし。



まふくんだから私の事
信用できない、とかだろうけど。
一応、仕事でそういう人とかかわる仕事だし、
見ただけでなんとなーくわかる。


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



現在、まふくんの部屋...
ではなく、るーくんの部屋に来ています。
なんかデジャブだなぁ。。。


るす「なんで俺の部屋なん？まぁええけど。」


まふ「うん、ごめんねるすくん。
ボクこの子と2人きりは厭だもん。」


はっきり仰るんですね、まふまふさん。。。
まふらーとして、悲しいよ、うん。
いや、目の前に居るから幸せなんだけどさ、うん。
生憎、罵倒を喜ぶ感性は持ってないんです。


そんなことは置いといて。


貴『えっと、すみません。
ご用件は何でしょうか。』


うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
声が、ふ、ふ、震えるうううううう。
あれ、私ってどんなキャラだったっけ。


まふ「そういう怯えられてるところが厭なの。
ボク怖くないから。人が苦手なだけ。」


貴『う、あ、すみません。。。』


まふ「う、ううん…。まぁいっか。
本題言うね。あのさ、君って、


“黒崎 A”ちゃん


って知ってる？」


!!
今、、、


貴『黒崎、A…。』


私の名前だ。
でも、過去の。
なぜ変わったかはあまり覚えていないが、
船橋さんが言っていた。
“ある理由で、君は桜庭になった。
だからもう、黒崎の苗字は使うことないと思うよ”


まふ「ねぇ、教えて。
黒崎Aちゃんのこと。
知ってる限り。」


貴『そ、それは…』

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