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指輪は用意した。
プロポーズのセリフだってちゃんと考えた。
あとは伝えるだけ。
先輩方や友達に相談して、頑張れ!上手くいくといいな!って前向きな応援も沢山してもらって、
あとは、そう、本人に伝えるだけ。
「A〜」
「んん、どーしたの。わざわざ改まって」
「や、うん。ちょっと聞いて欲しい事があって」
「うん?」
「あのさぁ」
「ふふ、うん。界人なんでソファーで正座してるの?」
「いや、いーから。そこは。」
「そう?」
ちょっと聞いて欲しい話があるんだけど、と切り出した俺に不思議そうな表情のA。
切り出し方に迷って緊張しながらソファーに正座してる俺にくすくすと笑ってるAには緊張のきの字もない。あ、これ何も分かってないな。
はー。…いや、うん。実はそんなに不安はない。大きな喧嘩もせずにそれなりに上手く付き合って来たはずだし、一緒に暮らし始めてからもお互い楽しく過ごして来れたし?
俺だって仕事を始めてもう10年、彼女の年齢を考えても早すぎるってことはないはず。サッと指輪を差し出して結婚してください、だ。何回も頭でシュミレーションしたはずなのに、いざ言うとなると口から言葉が出てこない。
「界人?」
「…はぁ」
「うん、…どしたの?なんかあった?」
不安じゃないなんて、嘘。正直めちゃくちゃ不安です。断れたらどーすんの、今はまだ仕事頑張りたいんだよねとか、Aなら言いかねないじゃん。
「えっと、家だし、こんなシチュエーションで悪いんだけど」
「うん」
「これ、受け取ってください」
「へっ、え!?」
なるようになれとポケットから取り出した箱を開けて差し出す。えっと瞬間に目を見開いてようやく察したらしいAの顔がじわじわと赤くなる。これは、喜んで、る?
「これって、」
「…結婚してください」
「えっ、あ、うそ!?今日なんかの日だっけ?」
「え、いや別にそういう訳じゃないけど」
良いから早く受けとってくれえぇぇ。
俺の手の中から一向に動く気配のない指輪とAの顔を見比べる時間は数秒なのに物凄く長く感じる。
指輪に手を伸ばしたAは、そのまま手を膝に下ろして、って、あれ。
「…すっごい嬉しい」
「え、じゃあ」
「…嬉しいんだけど、少しだけ考えさせてください」
「え?」
え?
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あゆ - 私の方こそ、になさんに出会えて界人君や声優さんの素晴らしさに気付けて更に好きになって感謝の気持ちでいっぱいです(;_;)私の言葉で少しでもになさんの癒しになっていたのなら良かったです♪短編やスピンオフも引き続き応援させてくださいっ!(*´ο`*) (2020年9月25日 11時) (レス) id: 0d45e1a57e (このIDを非表示/違反報告)
にな(プロフ) - きらさん» きら様ご感想ありがとうございます(*´˘`*)口調なども自分なりの部分も多く勉強不足な所もあるかと思いますがそう言っていただけて本当に嬉しいです(;_;)またお暇な時に短編等覗いていただけますと大変喜びます!今まで読んでいただいて本当にありがとうございました! (2020年9月23日 9時) (レス) id: 40e06de20d (このIDを非表示/違反報告)
にな(プロフ) - あゆさん» 少し長くなってしまって申し訳ございません。こちらこそあゆ様のコメントに癒されて応援してもらっておりました!本当にありがとうございました! (2020年9月23日 9時) (レス) id: 40e06de20d (このIDを非表示/違反報告)
にな(プロフ) - あゆさん» あゆ様こんにちは!ご感想ありがとうございます!連載初期からあたたかい応援をいただいていて、感謝してもしきれません。本当にありがとうございます(*´˘`*)お暇な時にでも短編等覗いていただけると喜びます!大ファンだなんて嬉しいお言葉ありがとうございます(;_;) (2020年9月23日 9時) (レス) id: 40e06de20d (このIDを非表示/違反報告)
きら(プロフ) - 完結おめでとうございます!界人くんの小説無いんだなと思っていたときにこの小説を見つけてずっと読ませていただいてました!界人くんや他の声優さんたちの話し方なども忠実で、ストーリーもとても素敵でした!完結寂しいですが、短編集などの更新も楽しみにしてます! (2020年9月22日 22時) (レス) id: 402860d582 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にな | 作成日時:2020年6月18日 8時