【男性声優】同業者のあの子 ３[完]

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えーっと、正直もう今となってはなんであんなに揉めたのかわかんない。たぶん、きっと、俺もAも疲れてた。疲れてたから思ってもない酷いことを言った。なんて言うのは言い訳にもならないかもしれないけど。


「…はぁ」


「界人くんさっきからため息多いよー」


「んー、うん…」


「…聞いた方がいい？」


出来れば聞いてくださいお願いします。

1人じゃ悶々とするばかりで解決しそうに無かったので、有難く思いながら収録前の少しの時間で事のあらましを目の前の壮馬くんに話す。


「え、そんな事で喧嘩したの？」


きょとんとした顔。だよねぇ、俺もそう思う。


「そう、そんなことで喧嘩したの」


「あー…、多分さぁ、2人とも疲れてたんだよ、ホントに」


「どんどんヒートアップしちゃってさ、酷いこと言っちゃったんだよなぁ」


「なるほど…」


「…謝りたいけど、どうやってあやまればいいかわかんない」


真っ直ぐ目を見て話を聞いてくれる壮馬くんにぽろぽろと弱音を零してしまう。

…本当はわかってるよ？俺がすぐにでも連絡して、ごめんなって言えばきっとなんだかんだ言ってもAは許してくれるけど、なんて言うか、…きっかけって言うか、すぐ謝って許してくれなんて虫が良すぎるんじゃないかとか。


「ちょっと考え過ぎなんじゃない？」


「…そっかなぁ」


「Aちゃんも今頃仲直りしたいなぁって思ってそうだけど」


「…」


「界人くんはさぁ、仲直りしたいの？したくないの？」


「…それは、したいけどさぁ」


そんなの、仲直りしたいに決まってる。
数日顔を見ないことは今までもあったけど、連絡すら何日も何日も取らないなんて付き合ってから初めてのことだし。


「だったら、ちゃんと話しなよ。このままじゃどんどん話しづらくなるよ」


正論すぎる壮馬くんの言葉に胸が痛い。痛い、けど、俺がやらなくちゃいけないのは、早くAと話すこと。

…明日にでも、連絡してみようかな。

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