【男性声優】同業者のあの子 ３[完]

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「…えー…、ごめんAさん、ちょっと、え、意味が…」


「なんかいやなの、…遠くに行っちゃいそうだし、周りにかわいい子いっぱいいるし」


「へ、え…？」


「江口さんもヨシキも…っ、界人最近頑張ってるよなって、業界内でも界人の事良いって言ってる女の子いるしぼーっとしてらんないんじゃないって」


えーっと、待って待って。それって？
続く言葉に期待してしまう。えーっと、前にもウチの事務所の子にヤキモチとかそんなこと言ってたのは聞いたけど、これは…


「…そのうち他の方が良くなっちゃうかもって、思って、」


「え、それで泣いちゃったの？」


「だって、なんかとまんないんだもん…っ」



え、かわよ。



ぐすぐす言いながら渡したティッシュで目を吹いてるAさん。え、ただのヤキモチかよ。この人のこういうところ、ホントにかわいい。普段しっかりしてる癖に酒飲むと結構ダメダメなとことか、なんだかんだ言って、もはや愛おしい。さっきまで理解出来なくてちょっとイライラしてたこととか謝りたいレベルで。


「そんなの、言ってくれればよかったのに」


「言えないよ！わたしめっちゃ格好悪いじゃん…っ」


「えー…」


そのくらいの嫉妬俺いっつもだけど、とはさすがに言えなくて、頭を撫でてみる。


「ヤじゃないの？こんな事くらいで泣かれて、めんどくさくない？」


「ないよ。どっちかっていうと言ってくれなくて、俺のいないとこで泣いてる方が嫌だわ」


「うー…かいとやさしい〜、また泣く〜っ」


「あーもう、ほら大丈夫だから泣かないでよ〜、目腫れるから、Aさん明日も仕事なんじゃないの？」


「そうぅ〜」


この酔っ払いはいつになったら泣きやむのかと心配になりつつも、多分初めて俺のことで泣いてるAさんのことをめちゃくちゃかわいいと思ってしまう。はー、にしてもこの人全然わかってないんだよなぁ、ほんとに。


「不安で泣いちゃった？」


「うん…」


「…あー、今言うの恥ずかしいんだけど、…俺、Aさんのことすごい好きだから」


「っ」


「…だから、泣かなくても、遠くとかいかないし。…大丈夫、よ？」


正直ヤキモチは嬉しいし、かわいいけど、やっぱり笑っててほしいし。恥ずかしすぎて結構小さい声だけど、伝わればいい。


「うぅっ…えー…、かいと好きぃ」


まだ泣いてるけど嬉しそうだから、たぶん伝わったってことで。

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