【Q.K】この可能性を求めよ(仮) part.2 (ページ8)

今日:16 hit、昨日:3 hit、合計:8,297 hit

可能性の私とIQ130の彼ページ8

『何もない、分からない。
怖くて、怖くて…
可能性すら…見えない。
そんなときは、どうすればいいと思う？』
恐れている。
その証拠に微かに震える手。

「可能性なんかどうでもいいさ。
みんな"偶然"でできてる。
偶然にパーセントなんか付けられないだろ？

だから今を精一杯生きていこうよ。
その場しのぎでなんとなくでもいい。」

『確実にいい方向で進めるか分からないよ』
震える声で言う。
弱気で説得力もない、そんな声で。

「そんなの誰にも分からないよ。
しかも、確実なんてのあったらつまらないじゃん。

自分が負けたな、って確信して
でも勝ってたら嬉しいだろ？

負けたであー負けた、はつまらない。
なんとなく生きてけ。
自分がなんとなく生きるほど、自分らしさが出るし、面白い。
自分らしさを大切にしろ、な？」

『…』

「泣いていい、叫んでいい
だから全部吐きだせ。
そうお前にそっくりな人に言ったことがあるんだよ。
真面目で、色んなことをこなせる人で。だから心配なんだ。」

『そうか、ありがとうな。』
震える手を握りしめ強がる。

私は泣かない。
辛いからじゃない、今泣きたくないわけでもない。凄く幸せな訳でもなく、感動なんてしてもいない。

なんでなのだろうか。
私は嘘はついていない。
泣きたくない訳でもないのに、泣きたい訳でもない。

『どうして混沌の道を選ぶの。

全然違う反対の2人が、それぞれの持つ望みへ駆けていく。
私は安定した秩序を好んだ。

何が起こるか分からないところに突っ込んでいくなんて、バカみたいってさ。』
私はそう言って、ハハハと笑う。

『伊沢と、この場所と、人が大好き。
羨ましいって妬む私がいるのに、
嫌いだって思う私がいるのに。

ずっと、ずっとそう思うんだよ。』

「…ありがとう」

『ありがとう！』

『……って感謝の気持ちが、重すぎる気がする。でもこれが今、吐ける最高の言葉だからね』

『「＿お疲れ様」』
0時前。
日付が変わろうとしているこの時間。

外でビカビカと光るネオン看板や、街灯。
部屋の明かりも眩しくて、消せばいいけど動きたくない。

寝れそうもないのに、彼の暖かさと無重力のような不思議な感覚を味わいながら私は泥のように眠ることができていた。