【Q.K】この可能性を求めよ(仮) part.2 (ページ16)

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笑顔で死にたい少女ページ16

伊沢side
「…や………り…その………は」
彼女がいつも以上にか細い声で呟く。

「どうしたんだよ？」
そう聞くとじんわりと彼女のズボンに濡れた跡が付いた。
ポツンポツン、と時間が過ぎる度にその量は増えていき、跡が大きくなる。

震えながら息を吸い、
泣きそう、というより泣いているが。
そんな声で彼女はこう言った。
「…っ、やっぱりその、私は皆と一緒に居て笑顔で死にたいです。」
その言葉に「何言ってんだよ」と言うと予想通り彼女が目を見開いた。
持っていたハンカチで彼女の涙を拭く。

「皆、ここで笑顔で死ぬんだよ。
誰一人だって悲しいまま終わらせたくねえ。
俺は皆と此処でこの人生を終わることができるのなら構わないし、笑顔で居られるだろうな。
だから俺の笑顔の源の一部である、お前が居なきゃ始まんねえんだよ。

…強欲だな、俺。ははは。」
そう言うと彼女は鼻をすすった。

「わー、イケメン発言ですかー？
ダサいですねー、でも良いですねー。

「だから俺の笑顔の源の一部である、お前が居なきゃ始まんねえんだよ」
ですってー、きゃー(棒)」
といつもの煽る彼女が出てきた。
その顔は嬉しそうで、楽しそう。

「(棒)は余計だろ、綺麗に読むな！」
笑いながら言う。

「「あははははは」」

「…何泣いてんだよ」
「お前もじゃん」
互いに流したその涙は全て嬉しさと笑いから流れたものだった。

今までのままだったら、絶対に無かった笑顔がここにある。
灰色だった彼女の笑顔に色がついたんだ。
その嬉しさに安堵し過ぎているから。
溢れでてきてしまう。

「自力でとめらんない…はは」
彼女はそう言って流れる涙を素直に流し続けた。

そして俺は鼻をすすって目尻を擦り、気持ちを切り替えた。

そして彼女は次に俺の気付いたことをそのまま言った。
「無かったものがここにある、きっとそれが嬉しいんだね」と。