【Q.K】この可能性を求めよ(仮) part.2 (ページ1)

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「君」と夏の終わりページ1

神社でのお祭り。

沢山の人々が賑わいを見せる中、俺は鳥居で彼女を待った。

『待った？』
彼女がスマホを眺めていた視界に無理矢理入ってきて、少し驚く。

「う、ううん。
さっき来たばっかりだから」

『花火、かぁ…』

「俺らで見るのは、中学以来だな。」

『そうだったっけ』

「近所で花火大会がやってて、2階のAの部屋の窓から見たんだよ」

『…あれが、初めて2人で見た花火だった気がする』

「Aにとってはそうだったんだな」

『多分。』

「俺たちに不可能性は無い！ってカッコよく言いたかったけどなぁ～。」

『あるにはあるからね』

「急に現実見せないでくれよ、理想ワールドに飛んでたのに」

『やめなさい』

同時に腹を抱えて笑った。

『はぁ…ありがとう。』

「なんだろう、感謝の言葉の似合わない人っているんだな。」

『カンシャ、ダイジ』

「やめ…」
つい笑ってしまう。

『笑うのやめんか』

「さーせん」

『だんだん人に慣れてきたかも。
伊沢以外は拒絶してた感じもあったから…』

「ふーん。俺と他の何が違う？」

『え？立場…？なんか、勉強教えるっていう新鮮な立場でやってたから。』
彼女に聞いてはいけなかったような気がしてなんか申し訳なくなった。

『聞いてがっかりするん？』

「ううん、ただなんか申し訳なかったなぁって。」

『私はその方が嫌なの、聞くなら聞いていいから。もうひたすらに過去のことを後悔はしない。』

「ねぇ十数年ぶりの約束叶えさせて」

昔、ディスタンスを常に保っていたのにいつの間にか彼女は慣れていて、後ろに下がらなかった。

『なんだろ、色々あったから覚えてないや』

「嫌だったらごめん」と言うとほぼ同時、思いだしたのか、彼女は目を瞑った。

「＿＿正解。よく覚えていました。」
と頭を撫でた。

2、3秒で俺の腕を必死に頭から引き離しそうとしている。
俺はこの状況が可愛くて、面白がっていた。

『考えてあげてもいいよ。
伊沢のファンってリアコ多そうだよね…。』
正直だな

「しょうがないけど、俺意外とモテるんだわー。」

『うぜぇ』と脛を蹴られた。

俺の反応は至って単純。
「痛い」の一言だけ。

テレビじゃほぼ確定でカットの台詞だろうな。

そう考えると、この時間だけはカットされたくないと思った。