ロンリーオンリーパラダイス

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「みっくんも今そんな人いるの？」

「え？俺？」

急に慌てたような声を出す。

「何か実感こもってるように聞こえたから」

「いるっちゃいる、けど」

「会いたい、とか。ふれたい、とか。
笑った顔が見たい、とか。思う？」

「……うん。思う」

「そっか。やっぱりそうだよね。否定できないものだね、そういう感情って」


みっくんが、うーん、って伸びをする。


「まだ時間あんの？
なんかスカッとすることしねえ？」

「スカッとすること？」


みっくんが構えて投げる振りをする。


「ボーリング！する！」


それから、ボーリング場を探してみっくんとボーリングをした。

みっくんはストライクもスペアもがんがん取って、めちゃくちゃうまかった。

「何かスポーツやってた？」

「うん、サッカー」

「へえ、サッカーも上手かったんだろうな」

「Aちゃんもけっこやるじゃん」

「体動かすの好きだよ、最近何にもしてないけど」

「あ、ほら。あと2本倒したらスペアじゃん」

「よし！」

投げたら、2本目がよろよろしながら倒れてスペアが取れた。


いえーい、ってみっくんがハイタッチしてくれる。


「楽しい！」

「ラー友最高？」

「最高！」


みっくんは笑ってたけど、急に真面目な顔をする。


「怪我しても、さ。いつかは治るし、一緒に治るまでリハビリしてやるよ」

「…何の話？」

「だから怪我の話だろ」

「よくわからないけど」

「いやそっちが言ったんだろーが」

たぶん。

藤ヶ谷くんを好きなままでも大丈夫って、言ってくれたんだよね？


「ありがとう」



「うん。じゃあ代わりに俺の仕事の愚痴聞いてよ」

「いいよ！ラー友の間に隠し事はなしで。
愚痴でも弱音でも吐いてこ！」

「おお、そうだな。また例の派閥争いでさ……」


ラーメン食べて、ボーリングして、話聞いてもらって、
話聞いて。


なんだか前向きな気持ちになれた。



と、思っていたのに。




週明け出社して、待っていたのは。

明らかに敵意むきだしの桐谷さん、だった。

「お、おはよう…ござ」

「私は納得していないんで。もし本当だとしても、認めません。Aさんが藤ヶ谷さんの彼女、だなんて」

そう低い声で言いながら、すれ違う時に思い切り肩のあたりにぶつかってきた。

思わず手に持っていたファイルを落としてしまう。


オフィスの床に散らかった資料を慌てて拾う私を冷たい目で一瞥して、桐谷さんは背を向けた。

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