ロンリーオンリーパラダイス

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「か…かっこいい……」

思わず心からの声がもれても、ひとりだから気にしなくていい。

もう何度も何度も見てるライブのDVD。

キラキラ笑うユウタは、汗までキラキラしてる。


きっかけは、本当に些細なことだ。

彼と別れて圧倒的に時間を持て余していたから、テレビを見る時間が長くなって。

そしたら、アイドルのキスミーがバラエティで体を張ってて死ぬほど笑った。

それまでアイドルというものに全然興味がなかったけど、この面白い子たちが歌うとどうなるんだろう？と思った。

動画サイトで何気なく見たら、私は歌って踊るユウタから目が離せなくなった。

もうそこは沼だった。


そこからは、時間とお金をフルに使って、キスミーとユウタを追いかけた。

ライブがあればチケットが取れたら全国どこでも行ったし。

CDもDVDも全形態買って、こうして休日の間はずっとどれかを流してる。

雑誌が出れば観賞用と保存用2冊買って、映画やドラマに出てるのは、昔のちょい役のやつから全部集めた。


はたから見れば、いい年して何してるんだろうって思われるんだろうなって思う。

でもユウタは、大げさではなく、私の生きる糧だ。


仕事だって頑張れるし、元気もドキドキももらえる。


「あー…幸せ……」


とろけるような笑顔で画面いっぱいに映るユウタを見ていると、強がりじゃなくて本当に幸せだった。

仕事して、好きなもの食べて、好きな人を追いかける。

私は今の生活に満足していた。



クッションの上をごろごろ転がりながら、SNSでラーメン屋さんとユウタの最新情報をチェックする。


「今度の舞台行きたいなあ」


舞台のチケットはライブよりもかなり手に入りにくい上に、相手役の女優さんのミノリは、某坂道アイドルグループを卒業したあとの最初の仕事で。

そちらのファンからの申し込みもきっと殺到するだろう。


「……徳を積もう、そうしよう」


そう呟いた。

舞台でお芝居するユウタに会いに行けますように。


その時の私の頭の中の9割はそのことでいっぱいで。


会社であんなことに巻き込まれるなんて、その時は微塵も思ってなかった。

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