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貴女が他の男に迫られていたら M.T.C 2byLon ページ9

CrazyM

「ふむ、小官のAに何か用か。」

「…あァ!?んだテメェ。」

理鶯さん、と言おうとした声は声にならなかった。助けて、と言おうにも、恐怖のあまりか喋ることが出来ない。壁に押し付けられて動けない今の体勢じゃあ、喋れなけりゃ助けを求める術はなかった。

「その手を離して貰おう。Aが嫌がっている。」

「おいおい良く見りゃMADTRIGGERCREWの理鶯じゃねぇかよ!! なんだぁ? こいつテメェの女か?」

「離せと言っている。」

面白い玩具でも見つけた子供の様に。でもそう言うには些か厭らし過ぎる笑顔をAに向けた男は、ぐ、とAの手を引き自分の方に寄せる。抗えない男の力に、Aは何も出来ずに涙を浮かべた。
……理鶯さん、助けて。

「はっはぁ!! 流石ヨコハマ代表の軍人さんだなぁ!!綺麗なねーちゃんじゃねぇの!! …よっぽどこいつが大事なんだろうな?」

「…何をする気だ。」

「んなの分かってんだろ!! テメェのヒプノシスマイクは高く売れるって有名なの知ってんだろ? 」

「小官のヒプノシスマイクを渡す気はないぞ。」

いやに饒舌な男だと思った。対象が理鶯だと知った瞬間、ここまで頭が回るなんて。治安のわるさで定評のあるこのヨコハマの街を、恨む日が来るなんて思いたくもなかった。

「じゃあこの女がどうなっても良いんだな? マイク渡しゃなんもしねぇって言ってやってんのによ?」

「…ちっ。」

「ほら早く。渡せや。」

にやにや笑う姿が気持ち悪かった。滅多に聴かない理鶯の舌打ちのあと、彼はマイクを手に取る。くいくい、と手を差し出す男に、理鶯が近づくのを見て、Aは駄目だと首を振った。
それは、駄目。私なんかよりもずっと。
スカイブルーの瞳と目が合う。その瞬間、理鶯は微かにAに向かって、頷いた。

「…なんてな、渡す訳が無いだろう。」

「なっ…!! オイ…!!! コイツがどうなってもいいの…」

男はそれを、最後まで言うことはついぞ叶わなかった。渡す振りをしてゼロ距離で放たれたリリックに、耐えられる人間なんているまい。倒れる男を置き去りにして、彼はAの手を引いた。

「大丈夫か。怖かっただろう。」

「ありが、と…。ごめんなさい理鶯さん…。」

「構わない。Aが無事ならそれで良い。…Aに何もなくて、良かった。」

久々に音になった声は掠れていた。私を抱き寄せてくれたその胸の中で、堪えていた涙を止めることはできなかった。

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リオ(プロフ) - 朱寧さん» ありがとうございます(^ ^) (2019年3月24日 21時) (レス) id: 36457bb11b (このIDを非表示/違反報告)
山吹桜(プロフ) - 朱寧さん» 分かりました! (2019年3月24日 14時) (レス) id: dc74c43e3f (このIDを非表示/違反報告)
朱寧(プロフ) - 作者様伝言の確認お願いします! (2019年3月24日 12時) (レス) id: 28fe66ac14 (このIDを非表示/違反報告)
朱寧(プロフ) - どぅるじさん» 主催者のLonさんに代わって、失礼します!リクエスト承りました!遅くなってしまいましたが、今週お題にさせていただきます!ありがとうございました! (2019年3月24日 10時) (レス) id: 28fe66ac14 (このIDを非表示/違反報告)
どぅるじ(プロフ) - リクエストお願いします!夢主ちゃんが隣で真顔で泣いてたらをお願いします! (2019年3月9日 19時) (レス) id: 90d23b1642 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Lon x他3人 | 作成日時:2019年1月21日 21時

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