司法の傷心心理士 2【逆転裁判】

勤務77日目 ページ30

「それならば…」


もう一つオウムに問いかけた真宵ちゃん


返ってきた答えは、オウムの名前


『サユリさん…、』


なんの変哲もない名前、これがもう一つの根拠だという


「容疑者のデータを見れば分かります」


言われたとおりに資料を見れば


『婚約者の名前、…』


しかも、逮捕後に自ら命を…



「どうやら、結論が出たみたいですね」


裁判長が様子を伺いながら声を上げた


「これは単なる偶然だ」


相変わらず、検事側は偶然と言い張っている


「そうかもしれませんが、"偶然"は２つ重なることは無い」


"偶然"も重なれば"必然"となる


もう一度、管理人が証言台へ呼ばれた




「…もう一度あなたのお名前をお聞きしたい」


「…、私の名前は…」


今度こそ自分の名前を名乗った


事件のあったあの日からずっと自分を偽り続けた彼


社会的に見放され、愛した人はこの世を去って、


挙句の果てに弁護士には信じてもらえない


本物の孤独にずっと耐えてきた


『辛かった、ですね』


自分をここまで追い詰めた人物に復讐する


そのチャンスを虎視眈々と狙って、ずっと



「それでは、判決を言い渡しましょう」


御剣くんに言い渡された無罪判決


それなのに、なんだか一つ引っかかる


「……」


狩魔検事が異議を唱えない


易々と無罪判決を取らせるような人ではないはずなのに


『……ヤな予感』


ガベルの音が鳴り響き、今日の法廷も終わろうとしていた時


「異議あり！」


弁護側からでも、検事側からでもない、証言台から聞こえた声


「判決に異議を申し立てる！」


『御剣くん、』


DL６号事件の真犯人と名乗るつもりなんだと瞬間に悟った

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