司法の傷心心理士 2【逆転裁判】

勤務69日目 ページ22

裁判が終わり、留置所へ戻ってきてすぐに御心が面談にやってきた


「また仕事か？」


『まぁ…そんなところ』


心なしか少し疲れているように見えた


一度有罪と言われた今日の法廷、疲れていて当然か


『あと、成歩堂くんに頼まれたことがあって』


「成歩堂から…」


心当たりは一つだけあった


今日の法廷後に成歩堂へ伝えたことだろう


忘れることを許されない、あの記憶


『…無理に話せとは言わないけど、成歩堂くんも心配していたから』


「……」


『"僕に話すよりも、まず先に心理に長けている人に聞いてもらった方がいいだろう"って言ってたんだよ』


もう話して楽になりたいのは事実


けれど、どうしても決心がつかない


話を聞いて、…こいつはどう思うだろうか



『…私はいろんな年代や性格の人と話をしてきたけれど』


なかなか返事が出来ず、黙っていると御心の方から話をしてくれた


『みんな傷ついて嫌な思いをして、…でも楽になりたくて、勇気を出して私に話してくれた』


「……」


『辛い過去を思い出すのは簡単なことじゃないし、心身ともに疲れる…でも、勇気をもって話してくれた人を私は見放したりなんかしない』


真っすぐ私を見つめる瞳には曇りは無い、ように見えた


何より、彼女が嘘をつくとは思えない


「そうか」


話すべき時が来たのかもしれない、御心にも成歩堂にも



『ゆっくりでいいよ、無理だけはしないで』


「すまない…」


話そうにも、上手く言葉が出ない私に


焦らなくていいと声をかけてくれた



少しの沈黙を経た後


「全てを話そう、あの事件について」


私は、自分のあの記憶について口を開いた

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