なんかカッコイイ ページ1
「跡部って言ったらあの跡部だよ。アイツなら他校の生徒を氷帝に引き抜くようなことも容易くできるだろうし」
「た、たしかに跡部さんが何かとすごい人だというのは聞いたことありますけど……そんなに気にすることですかねえ」
「Aは呑気すぎるんだよ」
そう言うと、幸村先輩は私の頭を人差し指でこつんと優しく叩いた。だらだらと会話を続けていたところで、ようやく他の部員の皆さんが満を持して口を開く。
「そ、だから余計な心配だって言ったのにな。幸村くんは心配性すぎんだよ」
「とか言って、丸井もだいぶ焦っとったけどな」
「なっ」
「俺の分析によると、丸井が精市の次に焦っていた確率は89%だ」
「よ、余計なこと言うんじゃねえっ!!」
余裕そうなそぶりで幸村先輩に話しかける丸井先輩に、部員の中でも特に頭のキレる二人である仁王先輩と柳先輩がすかさず彼にツッコミを入れた。
なんだかんだで彼も心配してくれていたのだと内心少しだけほっこりしつつ、私は「なんか心配させちゃったみたいでこめんなさい」と軽く頭を下げる。
「それにしても……真田や比呂士が落ち着いていたのはまあ納得って感じだが、赤也が誰よりも冷静だったのは正直かなり意外だったな」
「ああ、それはたしかに。切原くんは不安ではなかったのですか?」
ジャッカル先輩の話曰く誰よりも落ち着いていたらしい赤也に私はそっと目を向ける。いつの間にか目の充血も治っていて、彼はすっかりもとの切原赤也に戻っていた。
……たしかに、それはちょっと意外かも。目が充血してたってことは、彼にも何かしらの理由で動揺が走っていたのだろうと憶測していたりもしたし。
一斉にその場にいた全員の視線の的となった赤也は、少しだけ照れくさそうな表情を見せてからあくまでも自然な流れで口を開いた。
「いやだって、仮に誰かに勧誘されたとしてもAは断るだろって確信してたし……」
まるでその返答が当たり前の模範解答であるかのように、赤也は重たげに言うわけでもなくさらっとそんなことを言ってのけた。その流れの自然さたるや、それは私たちが一度「あーうん、そうだよね」と日常会話をしているかの如く軽く流してしまいそうになるほどに。
「……ええっ、なんか赤也がカッコいいこと言ってるんだけど!」
不意に一瞬だけ流れた沈黙を破ったのは、思わず私の口からこぼれた冗談めかすようなそんな言葉だった。
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かるぴん(プロフ) - 面白くて一気読みしました!続きがあったら見たいです! (2021年3月18日 16時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
織夜無 - はじめまして。作品を読ませて貰っていますが、とても面白いですね。こんな物語が書ける、いしださんが凄く羨ましいです。更新、頑張って下さい。微力ですが応援させていただきます。 (2020年4月24日 14時) (レス) id: 68fda6fa27 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - みかんですねんさん» はじめまして、コメントありがとうございます。せっかくの合宿、いろいろな学校の子たちと交流をしていく予定ですので、気長にお待ちいただけると幸いです…!テニラビはアカウント自体は持っているんですけど、最近はあまり手をつけられてないです( ; ; ) (2019年10月6日 11時) (レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
みかんですねん(プロフ) - はじめましていつも見させてもらってますプリガムレッドが好きであと光くんもすぎです光くんとの絡みを見せてください!頑張ってくださいテニラビやってますか? (2019年9月26日 14時) (レス) id: 84f3235ae9 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - 奏さん» はじめまして。笑っていただけたようでよかったです!!笑 これからも自分のペースで頑張っていきたいと思います。コメントありがとうございました! 更新頑張ります!!(^^) (2019年3月24日 10時) (レス) id: 71bf8f2eb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いしだ | 作成日時:2018年12月16日 0時