銀髪と不思議な方言 ページ7
「くく、大成功ぜよ」
「うわっ!?」
背後から突然声が聞こえたかと思うと、何故だか目の前には見たことのない人。
綺麗な銀色の髪を襟足だけちょこんと結んでいるらしい、端正な顔立ちをした────またしても、先輩だった。
「ど、どちら様? あれっ、さっきまで一人で……あれ!?」
「まあまあ、そう焦りなさんな。少しは落ちつきんしゃい」
「は、はあ……?」
銀髪の人が口を開いた瞬間に真っ先に浮かんできた、"どこの方言だこの人"という単純な疑問は置いておいて。
唐突に目の前に現れたその人は、どこか飄々とした雰囲気を漂わせながら、私の大袈裟とも言える反応を見るなりからからと笑ってみせた。
「俺は仁王雅治。おまんはたしか、二年の……水野か」
「な、何故それを? ま、まさかストーキング……」
「それは自意識過剰ってもんぜよ。おまん、最近よくここで幸村と話しとるじゃろ。こうして陽の光を浴びてるとよく話し声が聞こえてきてな」
「ほう、つまるところ盗み聞きですか」
「ピヨッ」
いちいち遠回しな言い方が聞いていてむず痒かったので要約すると、私が今まで気がつかなかっただけで、彼は私が屋上にいるときもずっと見えないところで昼寝をしていたそうだ。
そこから私と幸村先輩の会話は丸聞こえで、いやでも私の名前や容姿を覚えてしまったと。
……うーん、全く気がつかなかった。別に誰がいようと構わないんだけど、まさか屋上にこんな先輩が潜んでいたとは。
ここにきてまた新たな先輩に出会うとは思っていなかったな。もしかしたら、今年は私にとって三年と縁がある年なのかもしれない。
とはいえ、どんな相手にもまずは挨拶から。偉大なる母の言葉を胸に、私は一つ挨拶を交わそうと勢いよくベンチから立ち上がった。
「これからもたまに顔を出すと思うんで、以後よろしくお願いしますね。なんだっけ……ラ王先輩」
「プリッ」
……プリッ???
謎多き先輩ではあるけど、少なくとも悪い先輩ではなさそうだ。幸村先輩、柳先輩ときてこの"プリッ"の人。
……この学校、案外個性の強い曲者が勢ぞろいなのかもしれない。私はあらためてそう思った。
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いしだ(プロフ) - アルテミスさん» アルテミスさん、二度目のコメントありがとうございます……! 続編の方でも変わらず頑張って行きますので、何卒よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月19日 21時) (レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
アルテミス(プロフ) - 続編楽しみにしています! (2018年8月19日 21時) (レス) id: 2cc54b766f (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - 返信わざわざありがとうございます!夢主さん、ついにマネージャーですね!楽しみです! (2018年8月17日 20時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - ユッキーさん» はじめまして。そう言っていただけてとても嬉しいです! 応援ありがとうございます、これからも自分のペースではありますが頑張っていきますねヽ(´▽`)/ コメントありがとうございました! (2018年8月17日 20時) (レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - はじめまして!いつも、とても楽しく読ませてもらってます。応援しているので、これからも頑張ってください(*´▽`*) (2018年8月17日 2時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いしだ | 作成日時:2018年7月21日 18時