まさかの事態とまさかの勧誘 ページ41
私はさっき、"しぶしぶ荷物を取ろうと教室の方へと向かった"と言ったな。……あれは嘘だ。
「それで、水野さん。返事はどうかな」
──私は今、ちょっとしたピンチに陥っている。
何もできずただ棒立ちしている私の目の前には、今日だけは恐ろしくも思えるいつもの優しい笑みを浮かべた幸村先輩の顔。その後ろには、ハラハラとこちらの様子を伺う幸村先輩以外の正レギュラーである7人の人たち。それも、全員顔見知り。
この複数人(実際には幸村先輩だけだけど)に言い寄られる感じ、どこかで見たことがある。そうだ、少女漫画でよくある主人公に嫉妬した女の子たちが主人公を集団リンチするあの場面だ!!
……なにがどうなってこんな状況にが出来上がったのか。
順を追って説明すると、まず第一に、私は教室へ帰るために大量に流れていく人についていこうと画策していた。なにせ方向音痴なものだから、私の場合こうでもしないと来た道を戻ることすらできないのだ。
呑気にふらふらと脚を進めていると、どこからともなく現れたジャージ姿の幸村先輩に遭遇。
話したいことは色々あったけど、とにかくまずは「こんにちは!」と元気に挨拶をすると、先輩はそれに応えてから「少しこちらに来てくれると嬉しいんだけど……いいかな?」と言って私の腕を優しく掴んだ。
その口ぶりからしっかりと私に選択の余地が与えられているのかと思いきや、返答する間もなく幸村先輩に片腕を引かれて、半ば強制的に先輩の案内する方へと向かう形になった私。
そこにはどうやらこの部活の正レギュラーの面々が並んでいたようなのだけど、これがまたなんと全員が全員顔見知りだったのだ。
既に正レギュラーだと聞いていた切原もいれば、真田先輩に丸井先輩、ジャッカル先輩に柳先輩、仁王先輩に柳生先輩まで……ここ数週間で出会った方々が、揃いも揃って全員がテニス部正レギュラーとしてそこに居座っていた。
「単刀直入に言うよ」
まさかの事態に戸惑う暇を与えることなく、幸村先輩はがっしりと私の両肩を掴んで言う。
そして、その先に続いた言葉は何かというと──
「ねえ、水野さん。君、我が立海テニス部のマネージャーになる気はないかな」
「……はい?」
……そして、冒頭のシーンへ戻る。
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いしだ(プロフ) - アルテミスさん» アルテミスさん、二度目のコメントありがとうございます……! 続編の方でも変わらず頑張って行きますので、何卒よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月19日 21時) (レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
アルテミス(プロフ) - 続編楽しみにしています! (2018年8月19日 21時) (レス) id: 2cc54b766f (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - 返信わざわざありがとうございます!夢主さん、ついにマネージャーですね!楽しみです! (2018年8月17日 20時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - ユッキーさん» はじめまして。そう言っていただけてとても嬉しいです! 応援ありがとうございます、これからも自分のペースではありますが頑張っていきますねヽ(´▽`)/ コメントありがとうございました! (2018年8月17日 20時) (レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - はじめまして!いつも、とても楽しく読ませてもらってます。応援しているので、これからも頑張ってください(*´▽`*) (2018年8月17日 2時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いしだ | 作成日時:2018年7月21日 18時