正レギュラーの男 ページ5
とある日の休み時間。私はなんだか暇だったので、今日は試しにこちらから切原にちょっかいをかけてみた。
「聞いてよ切原。私この前人生で初めて先輩とお喋りしたんだよ。しかも二人も」
「……おい、マジかよ。二年にもなって初めて先輩と話すとか」
「しょうがないじゃん、帰宅部なんだから」
そうだよ、私は部活に所属している切原とはまず境遇が違うからね。委員会にも入っていないから、先輩と話す機会なんてほとんどないに等しいわけよ。……あれ？
「というか、そもそも切原って何部に所属してんの？」
今まで興味を示したことがなかったからか、思えば私は彼のことを何一つ知らない。
ここはひとつ、隣の席の人間として身近なことから聞いてみよう……というのはいわゆる後付けで、部活に関しては単純に私が気になったから聞いただけだ。
「あれ、言ってなかったっけか？ テニス部だよ、テニス部。それも正レギュラーだぜ」
「へえ、切原って案外すごいんだね」
「案外ってなんだよ、案外って！！」
なんと、彼は巷で話題のテニス部の人間だったようだ。しかも正レギュラー。どうりで異様に他学年の女子からも注目されていたわけだ。
「いいじゃんテニス。私も見るぶんには結構好きなんだよね」
「ふーん、それならルールとかもわかんの？」
「多少はね。やったことはないけど」
何故だか黙り込んでしまった切原を横目に、私は暑さを紛らわそうと下敷きで自分の顔を扇ぐ。
彼が興味深そうにこちらのことを聞いてきたのがなんだか珍しくて面白かったので、調子に乗った私は「今なら私のことについて色々教えちゃうよ」と切原に一言。
しかし当然切原には「いらねえ、望んでねえ」と二言で一蹴され、私のちょっとした陰謀は失敗に終わるのだった。つ、冷たい。
「それなら、俺らの試合とかは見に来たことある感じか？」
「え？ それはないかなぁ、なんかこの学校のテニスコートって妙に人多いし。人混みに自ら飛び込むのはちょっと」
「なんだよ〜、つまんねえの！」
切原は大袈裟に全身を動かすと、そのまま両足を椅子の上に乗せて椅子上で胡座をかき始めた。相変わらず態度がでかいな、この男。
「でも、切原がいるならそのうち行ってみようかな。多分一生気が向かないと思うけど」
「おう！ 俺はいつでも大歓迎だぜ。完璧なプレー、見せてやるからよ！」
「そいつは楽しみだなあ」
「お前来る気ねえだろ！」とかなんとか言って騒ぐ切原は放置して、私はそのまま欠伸をしたのち机に突っ伏した。……正直結構限界だったんだよね。眠気が。
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いしだ(プロフ) - アルテミスさん» アルテミスさん、二度目のコメントありがとうございます……！ 続編の方でも変わらず頑張って行きますので、何卒よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月19日 21時) (
レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
アルテミス(プロフ) - 続編楽しみにしています！ (2018年8月19日 21時) (レス) id: 2cc54b766f (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - 返信わざわざありがとうございます！夢主さん、ついにマネージャーですね！楽しみです！ (2018年8月17日 20時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - ユッキーさん» はじめまして。そう言っていただけてとても嬉しいです！ 応援ありがとうございます、これからも自分のペースではありますが頑張っていきますねヽ(´▽｀)/ コメントありがとうございました！ (2018年8月17日 20時) (レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - はじめまして！いつも、とても楽しく読ませてもらってます。応援しているので、これからも頑張ってください(*´▽｀*) (2018年8月17日 2時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いしだ | 作成日時：2018年7月21日 18時
