検索窓
今日:9 hit、昨日:24 hit、合計:351,638 hit

同類の人間 ページ22

「うわーーっ!?! ちょ、まっ……」


なにがなんでも自分の名前が書かれた26点のテストを取り返そうと全力で手を伸ばすも、切原はその長い腕を頭上に上げて位置的にちょうど私の手の届かないところへ紙を持っていく。

そして、あのニヤついた笑みを浮かべてペラペラとテストを揺らしながら

「あれぇ? アンタたしかこの前、成績が常に最高評価とか言ってなかったっけ?」

と盛大にこちらを煽ってくるのだった。いや、悪いのは私なんだけど。当たり前といえば当たり前のことなんだけど。


「ちゃ、ちゃんと"英語の成績が"って言ったし! 勝手に勘違いしたのはお前だし!!」

「でも、水野だって俺が"アンタは俺と同類なんかじゃない"って言ったとき否定しなかっただろ!?」

「うっ……」


彼の言葉に、私はもはや何も反論ができない。

……いやぁ、やってしまったな。やっぱり嘘はいずれ必ずバレる、いい教訓になりました。

私がちょっとした出来心と見栄でしかけた誤解が解けた(これはこれでよかったと思う)上に、まさか一番苦手な国語の点数までバレてしまうとは。小テストとはいえ、やっぱり恥ずかしい。というか悔しい。ああ、これがいわゆる天罰ってやつか……。


「……すんません、ほんとは君と同類かもしくはそれ以下の人間です。見栄を張りました」

「いや〜、スッキリした。あれだけ寝てたらそりゃあそうなるよな、うんうん。よかったよかった」

「ほんとすんません」

「これからは同じ人間として仲良くやっていこうぜ、水野サン」

「くっ……」


……私が悪い。私が悪いんだけど、コイツのこの勝ち誇ったようにも人を見下しているように見える表情を向けられると、どうしても無条件で腹が立ってしまう。

はらわたが煮えくりかえるとまではいかないけど、やっぱり妙にイラッとくる。いや、あれもこれも全部私が悪いんだけどね。これがまず大前提です。


「ま、晴れて俺たちはまた一つお互いに分かり合えたってわけだ。これからもよろしく頼むぜ、水野」


語尾に音符が付きそうなほど機嫌の良さそうな声でそう言いながら、今度は満面の笑みでバシバシと私の背中を叩く切原。


そんなこんなで、私と切原の関係は「隣の席同士」から「同類の人間」というなんとも言えないものに進化した。……のかも、しれない。

力説からの納得→←本当にあった怖い話?



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (205 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
405人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いしだ(プロフ) - アルテミスさん» アルテミスさん、二度目のコメントありがとうございます……! 続編の方でも変わらず頑張って行きますので、何卒よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月19日 21時) (レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
アルテミス(プロフ) - 続編楽しみにしています! (2018年8月19日 21時) (レス) id: 2cc54b766f (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - 返信わざわざありがとうございます!夢主さん、ついにマネージャーですね!楽しみです! (2018年8月17日 20時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - ユッキーさん» はじめまして。そう言っていただけてとても嬉しいです! 応援ありがとうございます、これからも自分のペースではありますが頑張っていきますねヽ(´▽`)/ コメントありがとうございました! (2018年8月17日 20時) (レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - はじめまして!いつも、とても楽しく読ませてもらってます。応援しているので、これからも頑張ってください(*´▽`*) (2018年8月17日 2時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いしだ | 作成日時:2018年7月21日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。