ナメた懺悔と衝撃の事実 ページ16
「さっ、さっ、さ、さな、真田先輩!!」
「……む? 水野か……ど、どうした!? 今にも泣きそうな顔をして……こ、こら! は、早く泣き止まんかっ」
「これが泣かずにいられるもんですか!!! まぁ全て自業自得なんですけど、悪いのは全部私なんですけど〜!」
明くる日の出来事。突然の私の奇行に狼狽える真田先輩を見て、私はすぐに下手な泣き真似をするのをやめた。
彼は「泣き止まんか」と必死に叫んでいたけど、流石に本気で泣いているわけではない。冗談で泣き真似をしたつもりだったけど、意外と渾身の泣き真似だったようだ。
「まあこれは嘘泣きなんですけどね」
「た、たわけが! 俺を騙したな」
「いやでも、私がさっき言ったことは本当ですよ。少し先輩に謝らなくてはいけないことがありまして」
「ほう、それはたった今お前が起こしたことについてか?」
「や、それとは別件です!」
「私が謝りたいのはですね……」と泣き真似をして乱れた髪を整えてから、私はもう一度姿勢を正す。
そして、心からの敬意とごめんなさいを気持ちを込めて、私はビシッと一つ敬礼をした。
「私は……私水野Aは、今まで先輩にとんでもない嘘をついていました!」
「なに?」
「私がこの前遅刻をしかけたのは束縛系彼氏のせいなんかじゃなくて、単に私が派手に寝坊をしたからです! 彼氏なんていませんいたことありません!」
「なに!?」
「ついでに言うと原因は夜更かしです! 植物図鑑を読むのが面白くて気づいたら朝方の4時になっていました!」
「なに!?!」
本気で驚く先輩をよそに、私は「言いきった」と一人で勝手に満足。怒られることを覚悟して、真田先輩から逃げることなくその場に仁王立ちした。
……しかし。
「……と、大袈裟に反応してみたはいいものの」
「え?」
「言いづらいのだが、俺は最初からそんなことはわかりきっていたぞ」
「え!?」
「ついでに言うと、原因が夜更かしだということもなんとなく予想はついていた。目元に酷い隈がついていたからな」
「え!?!」
衝撃の事実に、今度は私が本気で驚く。今までのあの信じきったような物言いも全部彼の演技だったというのか。
「え、あの、え?」
「ギリギリだったとはいえ、実際遅刻はしていなかったからな。特に叱る必要もないと判断した」
「さ、真田先輩……!」
私は少々先輩のことを見くびっていたのかもしれない。先輩は私が思っているよりも何倍もすごい人のようだ。
「よくわからないが気にするな」と言って私の背中を軽く叩く先輩は、なんだかやけにかっこよく見えた。
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いしだ(プロフ) - アルテミスさん» アルテミスさん、二度目のコメントありがとうございます……! 続編の方でも変わらず頑張って行きますので、何卒よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月19日 21時) (レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
アルテミス(プロフ) - 続編楽しみにしています! (2018年8月19日 21時) (レス) id: 2cc54b766f (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - 返信わざわざありがとうございます!夢主さん、ついにマネージャーですね!楽しみです! (2018年8月17日 20時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - ユッキーさん» はじめまして。そう言っていただけてとても嬉しいです! 応援ありがとうございます、これからも自分のペースではありますが頑張っていきますねヽ(´▽`)/ コメントありがとうございました! (2018年8月17日 20時) (レス) id: 92a349b8e5 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - はじめまして!いつも、とても楽しく読ませてもらってます。応援しているので、これからも頑張ってください(*´▽`*) (2018年8月17日 2時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いしだ | 作成日時:2018年7月21日 18時