土方先生と生意気JK (ページ46)

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スッ…

困っている私の反応を楽しむように、意地悪な言葉を並べ、その手をなぞるように私の首筋へ這わせた。

「ひゃあ、！」

冷たい総悟くんの指先を直に感じ、つい変な声が漏れる。

バクバクと心臓がうるさい。

「…、そご、くん…っ、待って…。」

総悟くんが何を考えているのかわからなくて、私は怖くて、顔を俯ける。

暫くの沈黙を壊したのは、総悟くんだった。

「…なーんて、先輩、謝りますから顔上げてくだせえ。」

え？

さっきまでの真剣なムードは嘘だったかのような、気の抜けた言い方。

「冗談でさあ。あんまり虐めたら嫌われちゃいますしねぇ。」

そんなことを言いながらケラケラと笑って私を見る総悟くん。

「じょ、冗談だったの？」

「流石に俺もそんなサディストじゃないでサァ。」

ホッと胸を撫で下ろす私。
そんな私をみて、総悟くんは何かを悟ったように言った。

「たまには息抜きにいいかな、なんて思ったんですがねぃ…放課後デートはまた今度に仕切り直しましょ。」

「え？？」

どういうこと？なんて総悟くんの顔を見れば、その笑顔はどこか寂しそうで。

「俺のせいで成績落ちたなんて言われたく無いんで…先輩はとりあえず今から学校戻って補習でも受けてきてください。まだ間に合いますよ。」

そう言って店を出る総悟くんの後を私は慌てて追いかける。

夏から秋に移り変わる少し肌寒い風が私たちの間を吹き抜けた。

「待って！総悟くん！！！」

呼び止める私の方をクルッと振り向いた総悟くんは、自分の制服のブレザーを脱いで私の肩にかけた。

「え？」

「自分から誘っといてこれはダサいんで、一個くらいカッコつけさせてくだせえ。」

流石にバカの私でも、総悟くんが気を遣ってくれているんだってことくらいわかる。

ごめんね、行ってくる。なんて小さな声で呟いて、私は急いで学校に走り出した。