第119話【motoki side】 ページ19
殴られ蹴られはしたけど、何とか逃げて来て今は体育館裏。
幸い、体育館で授業しているクラスは無くて先生にも見付からない。
絶賛授業サボり中だけど、仕方ないよねこれは。
『モトキ、ごめん、俺のせいで…ごめん、』
モトキ「大丈夫大丈夫、あんなの俺のより全然弱い」
『でも怪我、してるし、保健室…』
モトキ「大丈夫だってば、落ち着いて」
慌てるAの手を握った。
さっきから震えてたの目でも分かったぐらいだし、きっと怖かったんだと思う。
モトキ「A、気付けなくてごめんね」
『ちが…』
モトキ「最近シルクの所にも来なかったのって、あいつらの所為だよね」
『ち、がうよ』
モトキ「あいつらなんか庇わなくて良いんだよ、俺には素直に言って?何されたの?」
話を聞けば、Aを見なくなった日からあいつらに呼び出されるようになって、最初はただ揶揄われただけだった。
それが次第にエスカレートして、時にはさっきみたいな暴力も受けたらしい。
キレそうな気持ちを抑えて優しくAの目を見た。
こんなに弱ったAを見た事が無かったから、相当嫌な思いをしたんだろう。
モトキ「もう大丈夫だから」
『…ねぇ、お願いだから他の皆には内緒にして』
モトキ「何で?」
『シルクに言ったら絶対喧嘩になる。暴力は何があっても駄目だから』
モトキ「…そうだね、」
手を出した方が弱者になる。
この世で強いのは暴力では無いし、問題も解決出来る訳じゃない。
モトキ「シルク達には内緒にするよ、今はね。でも俺には頼って」
これは俺からのお願い。
あんな奴等さえ庇おうとする優しいAを泣かしたくないから。
大切な友達だから。
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作者名:憐 | 作成日時:2018年6月14日 12時