水度坂勘久郎 ページ18
「今回はまーた、一段と派手にやったんスねぇ。」
ケガレ祓い中、私は夢中で祓いすぎていて石に躓いて転んでしまった。しかも盛大に。
「まぁ、お子様だから仕方ないッスねぇ。」
「ちょっ！そう言う勘ちゃんだって子供っぽいとこあるからね！」
「いやいや、何言ってんスか。俺、どっからどう見ても完璧な大人じゃないッスか。」
「そういうとこだわ！！」
彼は、水度坂勘久郎。十二天将の一人で、青龍を継承している。そして医者。十二天将はただでさえ忙しいというのに、医者もこなしているから、ものぐさな性格のわりにはきちんと働いていて凄いなと思う。
「――はい、終わったッス。」
ふと、机の上の聴診器に目がいった。
「勘ちゃん、それ使ってみたい！」
あの管を伝ってどんな音が聞こえるのか、前から興味はあったけど、医者でもない私が使う機会なんてない。長い付き合いだから特別に許可出たりしないかな、なんて考えていたりする。そんな私の心の声を聞き取ったのか、聴診器を差し出してくれた。
「ありがとう！じゃあ服脱いで。」
「大胆ッスね。」
「男だからいいでしょ？」
「……まぁ。」
ノリノリな私。勘ちゃんは全くノリ気なし。それでも服を脱いでくれているから優しい。
「さぁて！どこから聞こうかな！」
「本当は疾患によって聞く場所違うんスけどねぇ。分かりやすく肺でどうッスか？」
「ここ？……おっ！聞こえた！！」
「前側の肺を聞いたら背中側もやると、より正確に聞けていいッスよ。」
さすがは医者と言うべきか。いや、私が無知なだけかもしれない。言われた通りに背中側からも聞いてみる。先程聞いた音が管を通して伝わってきた。この音を一日、何百回と聞いているんだろうなぁ……。
「―――いつもお疲れ様。」
そう小声で呟いた。医者が大変なのは分かってたけど、想像以上に大変なんだなって感じた。異音とか聞き取る訳だし。
「勘ちゃん、ありがとうね！」
前側に戻り、日頃の感謝も含めお礼を言った。勘ちゃんは何故か目を丸くした後、視線を逸らし、左手で片目を覆った。そんなに驚く事だったのかな……？私は最後に心臓の音も聴こうと手を伸ばした。
その時、手首を掴まれ、抱き寄せられた。
「１つ言い忘れてたんスけど――」
マスクを外し、真っ直ぐに私を見つめる。先程とは全く違う、真剣な眼差し。
「俺、あんたを我慢出来る程大人じゃなかったッス。」
*20170302
アンケにあった勘久郎書いちゃいました。
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Aris - 天馬の感情がとても可愛いかったです( ^ω^ ) (2021年5月17日 22時) (
レス) id: 07b3866fc0 (このIDを非表示/違反報告)
藤田(プロフ) - 紅兎さん» 紅兎さんありがとうございます(´；д；｀) 以前よりも遅くなってしまいますが更新がんばります！ (2019年12月4日 22時) (レス) id: dd4451f660 (このIDを非表示/違反報告)
紅兎(プロフ) - 主さまのペースで更新頑張ってください！いつまでも待ってます！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 83a25d3fd1 (このIDを非表示/違反報告)
藤田(プロフ) - 夜桜さん» 夜桜さん、コメントありがとうございます。消化頑張ります＞＜ かなり不定期な更新ですが、気長にお待ちいただければと思います！ (2017年12月16日 15時) (レス) id: ec78dea903 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 初めまして！とっても良かったです！リクエストの消化頑張ってください！更新待ってます！ (2017年12月12日 15時) (レス) id: e7a9357e65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤田 | 作成日時：2017年1月17日 23時
