拗らせ恋。【登坂広臣】１ (ページ29)

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. hiroomi side

昨晩、突然Aと連絡が途絶えた。

＂このメンバーはいません＂と表示された画面を虚ろに見つめたまま昨日の出来事を思い返す。

「どう考えても、俺のせい...か」

思い返せば返すほど、自分の過ちしか見えてこなかった。

でもひとつだけ、気がかりなことがある。

昨日、Aの家にスマホを忘れてきたことに気づき、取りに行こうか迷っていたところだった。

－－

「広臣、これ、忘れ物」

「...美奈子？」

チャイムが鳴り、もしかしてAが届けに？なんて思ったけど玄関に立っていたのは、美奈子。

「電話かけたら、Aって子の家にあったみたいだから私がわざわざ届けてやったのー」

「おう...ありがとう...」

まさか美奈子とAが接触するなんて思ってなかった。

どこか自分に罪悪感を覚える。

「...それで、私のことは置いといて、あの子とよろしくしてるの？」

唐突な爆弾にドアを閉めようとしていた手が止まる。

なんて返すのが正解か...いや、正解なんて探すんじゃなくて、ちゃんと言わなきゃいけない。

「美奈子、あのさ」

「別れ話なら聞かない」

「...最初に美奈子を引き止めたのは俺だった。けど、やっぱりこんな関係、やめたい」

初めて自分の気持ちをはっきり口にした。

顔をあげると、目に涙をためる美奈子の顔。泣かせたいワケじゃないのに、心底自分が嫌になる。

「...私のこと、嫌いになった？」