拗らせ恋。【登坂広臣】１

_28 ページ30

. minako side




広臣と付き合って3年。


別れてからもズルズル関係を引きずって数ヶ月。





「...私のこと、嫌いになった？」





こんな核心に迫ることを聞いたのは、付き合う前でも後でも初めてだった。


思い返せば、ふんわり好きとは言われても、はっきり口にされたことはほとんどない。


そしてこの結果。





「そういうこと、言ってんじゃない」





ほらまた、「嫌いじゃない」は言わないもんね。


それでもこんなに好きになってしまったら、もう後には引けない。


ずるいことをしてでも、こんな関係でも、私は広臣を自分から離れさせたくない。





「私、Aちゃんに、付き合ってるって言った」


「...どういう事？」


「関係聞かれたから。だってそうでしょ？引き止めたのは広臣だったじゃん」






途端に顔を曇らせる広臣。


Aちゃんには、私のこと知られたくなかったんだ。






「...Aは、なんて言ってた？」






私が別れ話をした時よりも、切ない声。


もう、言わなくても分かってる。


広臣はきっと、あの子が好き。

_29→←_27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す