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Aside


ーーー






「……ははっ。
いいよ、ちょっと驚いただけ。」






『すみません……。
本物…なのかな…って……』




.




だって、オオカミってもっと怖いと思ってたもん。





こんなに無邪気に笑う彼が、

人の為に手当てまでしてくれる優しい彼が、

オオカミだなんて信じられなくて……。




.





.





「本物だよ。耳も尻尾も。
…触ってみる?」





『………。』








そう言われて、

もう一度、スッと耳に手が伸びる。



.








『……わ、フワフワ……。』






「はは、くすぐったいね。
こうやって人に触られるの初めてだ。」







『………お、オオカミさんは
人を食べたりしないんですか?』







「あははっ。それは偏見だな。
もちろん、お肉だって食べるけど
野菜だって食べるし、俺の好物は果物だよ。」








似合わない?
って喉仏を震わせながら笑う彼。








なんだろう。



全然怖くない。



それどころか彼が笑うと、
心が暖かくなる感じがする。




.


.





『……あ、あの…。
果物…リンゴもお好きですか?』





「え?リンゴ…?うん、大好き。」






『なら!これ。
よかったら、食べてください。』









って、さっき落としちゃったリンゴを差し出す。





.








『転んだ時、落としちゃったけど
食べれないわけじゃないから…。』






「……いいの?」








『はい、売り物にならなくなっちゃったので。
貰ってもらえるとありがたいです。』









「ありがとう。すげー嬉しい。
…あ、ねぇ。一緒に食べない?」









『え、、?』








「分けて食べようよ。…ね?」






.





.






あ、まただ。



彼の癖なのかな?


寂しかったり、悲しかったり、不安に思うと
耳が垂れ下がるの。








.




『ふふ、いいですよ。
キッチン借ります。切り分けますね。』



.

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作者名:Bear | 作成日時:2016年3月26日 11時

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