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――かつてのスカルはただ強さだけを求めて、淡々と敵を倒すだけの存在だったこと。そんな彼に再戦を挑んだ、ゴーグルという者がいたこと。ブルーチームとの再戦で、心から「楽しい」と思える試合をしたこと……
「だが、バトルに挑む者は数多くいる。当然、ブルーチームのような者ばかりではない。むしろ大抵の奴らは、リッターが存在するだけで怖気付くし、スポナーから姿を見せただけで暴言を吐かれることもある。まあ、このような事はリッター使いとして、避けては通れぬと分かってはいるのだが……」
スカルはそう、淡々と語ってゆく。
「だが、お前と初めて対戦して、相打ちになった時、何か、感じる物があったんだ。まるで、かつてのブルーチームとの戦いを彷彿とさせるような、何かが……」
彼はそのまま、じっと自分の手のひらを見つめていたが、やがてAに向き直ると、イカホを取り出して言う。
「なあ、良ければ、連絡先を交換しないか。フェスが終わったら、今度は味方としても、バトルをしたい。……Aが良ければ、だが」
「え、ええっ、私と!? 勿論良いに決まってるよ!」
こうしてAは連絡先とフレンドコードを交換すると、その日はスカルと別れて家に帰った。
(どうしよう、スカルくんの連絡先、手に入れちゃった……今日のお礼とか、送った方がいいかな)
ナマコフォンを開いて、まっさらなトーク画面の下に、不器用な文章を打っては消し、打っては消しを繰り返す。
『今日は対戦ありがとう。こんな私で良ければ、また一緒にバトルに行きたいです!』
10分ほどかけてようやくその文章を送信すると、恥ずかしくなって勢い良く画面を閉じる。暫くして通知音が鳴ったので画面を見てみると、そこにはスカルからの返信の通知があった。
『こちらこそ、楽しかった。Aの都合の良い時にでも、また誘ってくれ』
その夜、Aが嬉しさのあまり一晩中布団の中で悶絶していたのは言うまでもない。
Chapter2 Splatted by Intent Look - 1→←5
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