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試合を終えてロビーに戻ると、A宛てに荷物が届いていた。「最高にイカしたキミへ」というメッセージカードが添えられた、ウデマエトロフィーとバッジだった。ナマコフォンの戦績画面には、確かに「S+0」の文字が見える。
「スカルくん!」
受け取った荷物を抱えて、Aは真っ先に、ロビーで待っていたスカルの元へ向かう。
「良くやったな、A」
「うん! これでやっと、私も……S+だよ!」
Aは高々と、白銀に輝くトロフィーを掲げる……が、その上に乗せていたメッセージカードとバッジが、勢いよく床に転がり落ちる。
「あっ、バッジー!!」
トロフィーを抱えたまま、急いでバッジを拾おうと身を屈めるが、先にスカルの方がバッジを拾い上げる。そして、拾ったバッジを一瞥してから、Aに差し出す。
「ついにお前も、オレと同じバッジだな」
「……!」
差し出されたスカルの手のひらの上で、ウデマエS+を示す金色のバッジが輝いている。それは紛れもなく、何度もスカルのネームプレートで見てきたものと同じだ。
(そっか、スカルくんと、同じ……)
バッジを受け取り、自分のネームプレートに付ける。LACT-450の熟練度5のバッジ、ナワバリバトルの銀バッジ、そしてウデマエS+の金バッジが並ぶ。スカルのいるS+上位帯にはまだ程遠いが、それでも彼の強さに少しでも近付くための、最初の一歩を踏み出すことはできたのだと、バッジの輝きが告げていた。
「私……強くなれたのかな」
「ああ。強くなっているぞ」
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この後パープルチームでの練習の予定があるから、というスカルと別れた後、Aはロッカールームへとやって来た。要らない荷物を出して、できた空間にS+のウデマエトロフィーを飾る。その上のフックには相棒のブキを掛けて、より輝かしくなったロッカーを眺めていると、ポケットの中でナマコフォンの通知音が鳴った。
(何だろ? ……あ、第6回イカップル杯のお知らせだ!)
サニーとグレープに、次はスカルを誘って出てみたらどうか、と言われていた大会だ。すぐさまロックを解除して、大会の詳細を見る。その中で、ある一つの文がAの目を引く。
(優勝ペアの賞品は……二人のウェディングフォト撮影!?)
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