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……だが敵も巻き返してくる。飛び交うスプラッシュボムに追い討ちをかけるように、ナイスダマとカニタンクが段差上から待ち構えている。慌てて引き下がれば、次に来たのはマルチミサイルの予告円だ。エリア内にミサイルを落とさないよう、素早くエリア手前に逃げる。だがその隙を狙って、敵は一気にエリアを奪い返しに来る。
 カウントストップされ、塗り返す間もなく敵がエリアを確保する。そして前衛にいた味方たちは一人、また一人とデスしていく。気付けば残りはA一人のみだ。
(人数不利だ……一旦引き下がろう!)
 退路を塗ろうとしても囲まれてしまう、そう判断したAはスーパージャンプで自陣に戻り、またエリアへと向かっていく。人数差がついたことで、敵はどんどん前線を押し上げてカウントを進めていく。
『おっとブラボーチーム、アルファチームに迫る勢いで進出してきたで!』
『アルファチーム、これはピンチじゃ!』
(このままだと、カウントリードされてしまう!どうにかしないと……)
 前線に向かおうとして、Aは思いとどまる。――今はまだ出るべき時ではない。スカルならきっとそう言うはずだ。
(そうだ、こういう時こそ対処を焦らずに、安全な場所でスペシャルを溜めて打開するんだ……!)
 スカルに言われたことを、一つ一つ思い出しながら、敵の射程内に入らない場所でスペシャルを溜めていく。
(私はこの編成の中なら最長射程。射程の差を味方につければ、有利に戦えるはず……スカルくんみたいに!)
『なんとブラボーチーム、ここでカウントリード!』
『エイ!(このままノックアウトしてしまうのかー!?)』
 敵にカウントリードを取られても、とにかくマルチミサイルを撃つまで生き残ることを最優先する。今のAには、焦りも迷いもない。
(敵の残りカウント20……行ける!)
 スペシャルが溜まると同時に、マルチミサイルを構え、4人をロックオンして発射する。横幅の狭い通路に16発のミサイル。巻き込み事故を誘発するには十分すぎる状況だ。
『ここでA選手のマルチミサイルが二人にヒットじゃ!』
『残りカウントはあと僅かやで!』
 人数有利は出来た。後はエリアを取り返すのみだ。敵の残りカウントは10。カーリングボムの跡を辿り、残る敵の追撃を振り切って、一直線にエリアへと向かう。

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作者名:Shinju | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2023年3月19日 1時

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