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エリアを見渡せる高台にスカルが戻ってくる頃には、エリア内は互いのスペシャルのぶつかり合いとなっていた。チドリとエイズリー、そしてサニーとグレープによる、ウルトラハンコとナイスダマ同士の壮絶な応酬とエリアの奪い合いが始まる。スカルもスコープ越しにエリア内の敵を追うが、ナイスダマに視界を遮られそう簡単には標的を定められない。そしてハンコの投擲を避けようとスカルがその場を離れた隙に、マゼンタチームは再びエリアを奪還する。
「スカル! このままじゃ……!」
慌てたようなチドリの声が、スカルの元に届く。高台に戻って見れば、マルチミサイルを起点に、マゼンタチームが一気に前線を押し上げようとしていた。
「そうはさせるかっ!」
咄嗟に動き出したのはタレサンだ。スカルの横でカニタンクを発動し、エリアを越えて攻め入ってきたサニーとグレープを瞬く間に返り討ちにする。
タレサンの機転によって、再びパープルチームが優勢になるかと思われた、その時だった。
「……っ!?」
「タレサン!?」
スカルの真横で、突如としてカニタンクの射撃音が途切れ、壊れた装甲がインクの海に沈んでいく。
(……まさか、背後を取られたか!? だとしたら……)
スカルは周囲を警戒する。敵が裏取りに来る方向を想定しながら、トラップを置き逃げようとした、その時だった。
「とりゃああーーっ!!」
聞き慣れた声と同時に、スカルの眼前に、フルチャージで光るブキを構えたガールが姿を表す。
(A……!)
スカルがブキを構える間もなく、真っ直ぐにスカルに向けられた発射口から、インクの矢が放たれる。
(そうか、チャージキープで壁を登って……!)
三本の矢が、スカルの胸元を貫く。Aの色のインクが、瞬く間に身体を満たして、弾け飛んでゆく。
(A。お前はここまで、強くなれたんだな……)
意識だけがリスポーンへと飛んでゆく中で、試合終了の笛の音が鳴り響いた。悔しさは、不思議と感じられなかった。
『……試合終了ーーっ!』
『エイッ!(結果は……パープルチーム88カウント、マゼンタチーム91カウント!)』
『マゼンタチームの勝利じゃー!!』
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