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カウントが進んでいく。現在はパープルチームの方が優勢だ。だがマゼンタチームも決して弱くはない。隙あらば様々なルートからエリアへと侵入し、射程で圧をかける、裏取りで人数差を作る、スペシャルで前線を押し上げる、などとありとあらゆる方法で抵抗し、何度もエリアを争奪して来る。
「……そこだ」
 スライドで軽快に射線を躱しながら接近を試みるケルビンを見つけ、スライドの硬直の隙を突いて撃ち抜く。いつも通り、射程内に入った者に狙いを定め、撃ち抜いていけば良い。……だが、それだけでは危うい、ということを、スカルは微かに感じていた。
(マゼンタチーム……思ったより、カウントの進みが大きいな。このままでは、こちらが不利になりかねない)
 何しろ、スカル以外の3人は、塗りと機動力こそ優れているものの、射程ではかなり不利なのだ。マゼンタチーム はLACT-450、スプラスピナー、ケルビン525と、やや長めの射程に加えて影響力の強いスペシャルを持ったブキが多い。その射程を強引に押し付けられて前衛がやられるか、あるいはスペシャルで強引に動かされて、エリアを奪還される。その頻度が、スカルの想像を遥かに上回っていた。
 そして、その予感は的中した。エリアから手前に出て奇襲を狙うタレサンにスピナーの流れ弾が偶然命中したのを皮切りに、前線の陣形は崩れ始めた。そして、何度目かのマルチミサイルをスカルが避けようと動いた隙にマゼンタチームはエリアを奪還した。そのままチドリとエイズリーも立て続けにデス。パープルチームはスカルを残して3落ちとなった。
(仕方ない、一度退くか)
 スカルの足下にカーリングボムが滑り込んでくる。それと同時にインク跡からAが姿を現す。スカルを見据える、真っ直ぐな瞳。彼の脳裏に焼きついて離れない、初めて出会ったあの日と同じ彼女の姿。その射撃をすんでのところで躱して、スーパージャンプで自陣へと戻る。
『さあ、ここでマゼンタチームがカウントリードや!』
『時間も残り少ないぞー! パープルチーム、実力を見せつけるのじゃー!』
 スカルが不在となった隙に、パープルチームはカウントリードを譲ることになってしまったが、逆転の余地は十分にある。インクリングの本能ともいえる闘争心が、スカルを、パープルチームを、そしてこの場にいる全ての者を駆り立てる。

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作者名:Shinju | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2023年3月19日 1時

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