2 ページ35
だが、マゼンタチームも引き下がらない。エリアから更に敵陣側へと塗りを広げようと進出するタレサン達をスプラッシュシールドで阻止し、さらにスカルの陣取る高台へとナイスダマを飛ばして来る。ナイスダマを避け、位置取りを変えようと動き出せば、サニーがその隙を突いてエリアを取り返し、前線を押し上げようと動き出す。
(さて、次はどこを抑えておけば良いだろうか)
スメーシーワールドはステージの構造上、長射程ブキがエリア全体を抑えつつ安全に居座れるポジションが無い。常に敵の侵入方向を意識し、それに合わせて自身の位置取りも変えていかなければ勝ち目は無い。
(Aは……左から来るようだな)
塗り状況で戦況を把握しながら、エリアに接近して敵の侵攻ルートを抑えていく。だがその時、マルチミサイルの予告円がスカルを囲んでいることに気付く。
(A……焦らずスペシャルを溜めて打開しに来たか……やるな)
マルチミサイルから逃れようと後方に退いている間に、前線にいたチドリとエイズリーがやられ、マゼンタチームがエリアを奪還する。そのまま前線を上げる好機と見たのか、Aはカーリングボムを投げ、更にこちらに接近してくる。
――胸が高鳴る。Aとのバトルで何度も感じた、高揚する想いに心の内を支配される。
(オレに攻撃を仕掛ける気だな。……良いだろう、かかって来い。だが、こちらもS4という肩書きを背負っている以上、そう簡単にやられる訳にはいかない)
波のように不安定に揺らぐ心を、最強の狙撃手としてのプライドが繋ぎ止める。Aの全力を見せて欲しい、Aの前だからこそ負けたくない。相反するふたつの想いを込めるようにチャージして、スコープで彼女の姿を探す。
「そこだ!」
「……!」
障害物の影からチャージキープで飛び出してきたAの姿をスコープ越しに見つけて、瞬時にトリガーを引く。頭上からインクを浴びると同時に、眼前で紫色のインクが弾け飛ぶ。……そこにもうAの姿は無かったが、スカルは辛うじて姿を保っていた。……どうやらAが放った3本の矢のうち1本は外れたらしい。
「なかなかやるな。……その調子だ」
インクを補給してから、スカルは再び壁に登り、エリアを見渡せる位置でリッターを構える。
「さあ……オレをもっと楽しませてみせろ」
3→←Chapter4 Control Your Own Zone - 1
11人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ