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「……そういえば、だ」
空の袋を畳んでポケットに仕舞いながら、スカルは真面目な表情へと戻って、Aに向き直る。
「オレも丁度、お前に聞きたいことがある。A、次の昇格戦まで、あと何ポイント必要なんだ?」
「えっ? えーっと……あとオープンで3勝すれば昇格戦。明日ポイントを貯めて、明後日にまた昇格戦に挑むつもり」
「そうか……なら、丁度いい。明日の午後、お前のマゼンタチームと、オレのパープルチームで対戦するというのはどうだ」
「え、えぇーっ!?」
Aが思わず裏返った声を発しながら後ずさりする。
「ど、どうしてそんなことを……?」
「フェスの時に感じたんだ。お前は着実に実力を伸ばしつつある。昇格戦の前の最後の特訓として、オレ達に挑むのも悪くないだろう」
「で、でも、私、まだ一度もスカルくんに勝ったことないのに……」
俯きながら答えるAの声は、語尾に近付くにつれ次第に小さくなってゆく。
「ならば、この条件はどうだ。ルールはお前の得意なガチエリア。ステージは裏取りがしやすく、長射程による制圧が難しいスメーシーワールド。これならお前たちにも十分勝機はあるだろう」
「う、うん……」
弱々しく頷くAの声は、少しだけ震えていた。
「……そう弱気になるな。自信を持て。お前が勝てるようになるまで、何度でも再戦は受けてやる。お前がオレに勝つことで、足りない最後の武器……『自信』をつける。そのための特訓だ」
「……!」
Aが、俯いていた顔をそっと上げる。見上げたスカルの瞳は真っ直ぐで、その佇まいは何者にも揺らぐことはなく堂々としている。
(私も……こんな風になれたら)
Aの胸に、小さな希望と静かな闘志が灯る。
「分かった。私……スカルくんに追いつけるように、精一杯、頑張る」
「ああ。明日……お前の全力を見せてくれることを、楽しみにしているぞ」
昼下がりの眩しい陽光を背にして、スカルは力強く頷いた。
Chapter4 Control Your Own Zone - 1→←17
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