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――2月14日。
『さあ、ブラボーチームのカウントは残り15! だがサニー選手も必死でエリアを塗り返す!』
『おっとここで、グレープ選手、スプラッシュシールドで敵の塗りを阻止! アルファチーム、再びガチエリア確保!』
『イカップル杯の頂点に立つのはS+50の王者か! はたまたマゼンタチームからの挑戦者か! 結果は最後まで分からないぞ!』
「頑張れーっ! サニー、グレープーっ!」
クサヤ温泉の観客席から、Aは身を乗り出してあらん限りの声援を送っていた。チームメイトのサニーとグレープが参加するイカップル杯で、二人は数多の強豪チームを破り、ついに決勝戦まで進出していたのだ。
『さあ、決勝戦のこの試合も時間は残り僅か! 現在のカウントリードはブラボーチーム! だがアルファチームのカウントも徐々に追いついていく! 逆転は起きるのか!』
「行け行けーっ! ファイトーっ!」
『残り時間5秒! アルファチーム、必死でエリアを塗る! カウントストップだ! しかしサニー選手がすかさず迫る! おっとここで、グレープ選手がナイスダマを構えた!』
「そこで塗れーーっ! 行っけーーっ!!」
身体の奥底から声を出して、Aはチームメイトの二人へと応援を届けようとする。
『さあ延長戦に入った! アルファチーム塗り返す! しかしここでグレープ選手のナイスダマが炸裂! ブラボーチーム、エリアを確保して……カウントリード! 試合終了ー!!』
「やったーーーー!!!!」
Aの周囲が、瞬く間に歓声と拍手に包まれる。
『第5回イカップル杯、S+50の強豪を破って、サニー選手とグレープ選手のペアが見事頂点に輝きました!』
「サニーー! グレープー! おめでとうー!!」
ステージを包む歓声に飲み込まれないように、大きく手を振りながら叫ぶ。二人もそれに気付いたようで、満面の笑みで手を振り返した。
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