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『レディー……ゴー!!』
スポナーからは出来る限り手前に降りる。圧倒的な塗り性能と射程無限のスペシャルであるマルチミサイルを併せ持つラクトは、自陣塗り役には持ってこいのブキであり、Aがラクトを持つ時は、必ず初動で自陣塗りを行っていた。 程々に塗れたところでマルチミサイルを放ち、前線で戦う味方の元へと駆けていく。
その時、空気を震わす銃声が遠くで響いた。そしてモニター上のイカランプに、ひとつ、ふたつとバツが付く。
『おっと、ここで辛いチーム、二人一気にリッターに抜かれた!』
『流石はS4最強と名高いスカル選手! 圧倒的なエイム力じゃの!』
……恐れていた事態が早速起こった。やはりこの短射程ばかりの編成で、スカルには敵わないのか。初動で二人も落とされてしまってはこちらは圧倒的に不利になる。どうにか高台の手前側だけは死守しなければと、引き撃ちで足元を塗りながら周囲の状況を伺う。しかし敵の前衛は既にAを取り囲んでいる状況であった。カーリングボムで退路を取りつつも、どうにか抵抗しようとひたすらに周囲を塗り返していた、その時だった。
――バキュン!
突然、鋭いインクショットがAの身体を貫く。……リッターだ。為す術なくリスポーンへと飛ばされていくAが見た光景、それは、手前側の高台に堂々と立ちはだかり、表情ひとつ変えず、ただ次の獲物を狙うスカルの姿だった。
状況は圧倒的に不利だった。手前の高台を取られてしまっては、自陣側の段差ですら、
『甘いチーム、圧倒的リード! このまま押し切るのじゃー!』
『勝負は最後まで分からへんで! 辛いチームの底力、見しておくれやす!』
3→←Chapter1 Fall in Sweet Love - 1
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