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「こんな所でお前と対決することになったからには……存分に楽しませてもらう」
そう言ってヴィンテージがタンサンボムを投げ、スカルはそれを避けようと段差の後方へ降りる。だが既に辺りは敵インクに囲まれている状況だ。このまま足元を取られてしまえば――
「危ないっ!」
Aが咄嗟に、スカル目がけてカーリングボムを投げる。一直線に伸びた塗り跡を辿るようにスカルが後方に逃げ、クーゲルシュライバーの弾幕を間一髪で躱す。
「……逃げ道を作ってくれたのか。有難い」
安全な高台の上にいるAのところまでスーパージャンプで戻りながら、スカルがそう告げる。マスクに隠されて殆ど見えないが、Aにはその頬がほんの少しだけ紅く染まっているように見えた。
「さっきのカーリングボムでスペシャル溜まったし、私は準備できてるよ」
「オレも他の味方もスペシャルは溜まっている。準備は万全だ。……行くぞ」
「よし、反撃だ!」
マルチミサイルにホップソナー、味方全員のスペシャルを合わせて、一気に前線を押し上げてゆく。
「ヴィンテージくん……そこにいるのね。丸見えだよ!」
マルチミサイルでロックオンしたヴィンテージの動きを追いながら、Aは徐々に距離を詰めていく。
「……その程度で、怯ませられると思っているのか」
ヴィンテージは表情ひとつ変えずに、ミサイルもホップソナーのウェーブも器用に躱して距離を取ると、クーゲルシュライバーのチャージを始める。
(しまった! クーゲルは射程不利、メインだけではとても勝てる相手ではない……!)
発射口がAに向けられ、絶体絶命かと思われたその時。
――バキュン、と重い射撃音が背後から響く。
心臓を震わすようにその音が空気を貫いて、目の前で白いインクが弾ける。
「……チッ、スカルか」
ヴィンテージがいた場所は、一瞬にして白いインク溜まりと化した。Aが後ろを振り向けば、橋の上で微動だにせず、リッターを構えるスカルの姿がそこにあった。
「助けて……くれたの?」
スカルはその声には反応せず、ただその場で一人、また一人と敵を撃ち抜いていく。
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