7 ページ22
***
『さあさあお立ち会い! フェスもいよいよ後半戦に突入して、盛り上がってきたで!』
『次のバトルは、三陣営が入り乱れるトリカラバトルじゃー!』
『エイ!(今回のステージはナメロウ金属だよ!)』
迎えたフェスの二日目、Aとスカルは、共にトリカラバトルに参加していた。今回は中央の防衛チームがミルク陣営。両端の攻撃チームが、ビター陣営とホワイト陣営だ。ホワイト陣営が攻撃チームとなったことで、Aとスカルは二人きりのチームとなる。
『レディー……ゴー!!』
各々がスポナーから飛び出すと共に、3色のインクが少しづつ、中央へと向けて拡がり始める。
スカルの4KスコープとAのLACT-450。どちらもトリカラバトルの攻撃チームでは不利とされているブキだ。チームの人数が少ない攻撃側にとって、塗りの弱いブキや隙の大きいブキを使うことはそれだけで負担を増やすことに繋がるし、マルチミサイルは対岸の攻撃チームを巻き込んでしまう。だが、それでも二人はブキを変えることはせず、最も得意なブキで勝ちにいくことを選んだ。
Aはいつも通り、1ミリの隙間さえも許すことなく丁寧に自陣を塗っていく。スカルと二人だけのチームで、彼が狙撃に専念できるようにするためにも、塗りの役割は全てAが担わなければならない。そして何より、防衛チーム側はすぐにスカルの陣取る高台にまで到達できてしまう。
(スカルくんを守ることができるのは、私一人しかいない。私が全て、サポートしなければいけないんだ)
無意識に下を向く癖がある――前にスカルがそう言っていた。足元だけでなく、もっと遠くまで、視野を広げて意識を研ぎ澄ます。敵の動き、スカルの動き、こちらに近づいてくる者の気配。場の状況を冷静に俯瞰しながら、Aは着実に塗りを広げていく。
11人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ