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その人は「付いて来い」とだけ言って、図書室から出ました。
「図書室から本を持ち出しちゃっても良いの？」
「大丈夫だ」
なんだか心配だけれど、この人が言うならだいじょうぶなんでしょう。
「ねえ、あなたの名前を教えて？」
長いろうかを歩きながらわたしがそう言うと、なんだかむずかしい文章を読んでいるような顔をその人はしました。
「名前、言いたくないの？ならニックネームでも良いわ。あなたのこと、なんてよべばいいのかわからないの」
だまっているその人へ声をかければ、しぶしぶといった調子で、ようやく名前を教えてくれました。
「…レオーネ」
レオーネ、外国の言葉でライオンという意味。
「それが名前？」
「俺をどう呼べば良いか知りたいんだろ？だったらお前は俺のことをそう呼べば良い」
まっすぐ前を向きながら、レオーネは続けます。
「名前は名前でしかない。物の価値は名前じゃなく、中身や質で決められるべきだ」
たしかに、そうなのかもしれません。
長い長いろうかを通って、外に出ました。
かいだんを下りるとき、レオーネはわたしに手を差し出してくれて、なんだかふわふわした気持ちになりました。
「レオーネはやさしいのね。わたしのこともていねいにあつかってくれる」
と言うと、「女に手を差し出すことくらい当たり前だろ」と返されました。
「当たり前に人にやさしくすることがいちばんむずかしいことだって、お母さまは言ってたわ。だからレオーネはすごいのよ」
レオーネは当たり前に人にやさしくすることができる人だということがわかって、うれしくてそう言えば、レオーネは少しおどろいた顔をしてわたしと目を合わせてくれました。
緑色の目がとてもきれいです。でも、右目にきずが付いているのはなぜでしょうか。
聞きたくてたまらなくなりましたが、お母さまが
「人の傷口に軽々しく触れてはダメよ。その人の秘密、悲しい出来事、それが隠されているかもしれないでしょう？」
と言っていたことを思い出して、何も言わないでおくことにしました。
＿＿＿わたしがニコニコしてレオーネの目を見つめていたとき、レオーネは何を考えていたんでしょう。今思い返しても、緑の目には何が映っていたかわたしには思い出せないのです。
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るり(プロフ) - ネイビーさん» はじめまして〜こちらこそそんなに褒めていただけて光栄です！ありがとうございます^ ^ネイビーさんをギュンギュン(笑)させられるようにわたしも頑張りますね！更新頑張ります！ (2020年6月16日 8時) (
レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ネイビー - はじめまして！このような素晴らしい作品を書いて下さり、誠にありがとうございます。もう、もう、レオナさんかっこ良すぎて、キュンキュン通り越してギュンギュンでした！これからもずっと応援しています！ (2020年6月16日 1時) (レス) id: a7f9a787f1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 誓雨さん» 誓雨さんありがとうございます〜！とても嬉しいです！そろそろ続編に移ろうかと考えているのでそちらでもよろしくお願いします。頑張りますね〜！ (2020年6月15日 19時) (レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
誓雨(プロフ) - この小説ほんと好きです！レオナさんもカッコいいし夢主ちゃんも可愛いし……いつもキュンキュンしてます！更新頑張ってください！ (2020年6月15日 19時) (レス) id: fc504e5c9b (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - Aさん» ほ、ほんとだ…わざわざご指摘ありがとうございます！タイトル書き間違えてました…お手数かけてすみません…。頑張りますね！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るり | 作成日時：2020年5月9日 23時
