子供は海へ舟は水ーその16 ページ10
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「おおー…すげ…」
炎天下、灼熱の砂浜にサンダルを踏み入れながら。
俺は目の前に広がる青の眩しさに目を細めた。
と、言うわけで。
「まさか本当に海に来るとはなぁ」
全員で海へ来ました。
女子陣は焼けたくないとの事で、プールへ行くらしい。
それを聞いて俺が、「男ばっかだから、水着とか気を使っちゃうし一緒に行くの難しいよね」と変なフォローをしたら、杏ちゃんがニヤリとして俺をつついた。
「本当は見たかったんじゃないの〜?」
「えっそっそそそそんな」
慌てて俺がそう返してしまったら朋ちゃんに「スケベ!!」と首を絞められた。ひぃ。
もう海に突っ込んでいくモモさんや神尾さんを見つつ、自分の格好を確認する。
小学校のプールの授業を、「水の音が嫌」という理由でほぼ休んでいた俺からしたら、この海パン一丁ってのもこう…新しい体験だ。
「と、取り敢えず…日陰に…」
ジリジリと肩が焼ける音がした気がして踵を返そうとして、後ろから「失礼、」という声と共に肩を叩かれる。
振り返ればそこにいたのは、何とも微妙に厳しい顔をした柳生先輩が。
「柳生先輩?どうしました?」
「あの…よかったらこれを」
そう言って先輩が差し出してくれたのは、黒いTシャツ。
もしかして、このクソ暑い夏場にも焼けたくないという理由でジャージを着続けていた俺に対する紳士的な気遣いなのだろうか。
でも、大きさ的にどう見ても柳生先輩のだし、これから砂がちったり海水に濡れたり、きっと俺が来たら汚してしまうだろう、と思い俺は首を振った。
「ありがとうございます、でも俺汚しちゃうかもしれないですし、大丈夫ですよ?」
「よ、汚してもらっても結構なので!!」
必死な感じを滲ませながら声を荒らげた柳生先輩に流石に戸惑う。
俺が黙ったまま立ち尽くしていると、柳生先輩はがっと俺の両肩を掴んで言いにくそうな声を絞り出した。
「仁王君の……仁王君の目を見てください…!!」
「え……あっ!!」
その言葉に慌てて仁王先輩を探すとすぐに変態じみた目でこっちを見ていた仁王先輩と目が合い、俺は慌てて柳生先輩の手からTシャツをひったくって頭からかぶった。
「すみませんありがとございます!!!」
「い、いえいえ…わかって頂けたなら…」
着終わってから「洗って後日返しますね」といったら「大丈夫ですよ」と返されて、二人でため息をついた。
…後ろの方で何人か舌打ちしたな?今。
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木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» コメントありがとうございます!本当に合宿編は終盤です…最後まで楽しんで貰えたらなによりです! (2019年1月17日 22時) (レス) id: 2e6823aea8 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - ルドルフ可愛い...合宿が終わるの寂しいですね。更新頑張って下さい! (2019年1月12日 1時) (レス) id: 8a79432f79 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» 久々の更新にも関わらず、コメントありがとうございます…!長い間ご迷惑をお掛けしましたが、今日から少しずつ更新できればと思います…! (2019年1月7日 23時) (レス) id: 2e6823aea8 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - 久しぶりの更新!いつも更新楽しみにしています!これからも頑張って下さい! (2019年1月7日 19時) (レス) id: 8a79432f79 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - キャラメルさん» お返事が遅れてしまいすみません!コメントありがとうございます!そう言っていただけると書きがいがあります…!これからもよろしくお願いします! (2018年10月8日 17時) (レス) id: 2e6823aea8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木こりのコロポ | 作成日時:2018年6月11日 21時