【テニプリ】聞く耳もたらすーその6【男主】

子供は海へ舟は水ーその15 ページ9

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「だがここで遊んでなまけるわけにはいかねぇ。

明日は荷物をまとめたらとっとと解散するつもりだったが、昼まで全体で練習を続けることにした。

だからこの後は海へ行くぞ！！！！！水着は用意した！！！！
せいぜい楽しみやがれ！！！」


わくわくを全面に顔に写した跡部様がそう言って、あちらこちらで歓声があがる。


おいおい、それでいいのか諸君。


俺が何か言わないんですか、と言う目でお隣の向日さんを見ると向日さんは、


「おい、あれを見てみろよ。」


真顔で跡部様の手を指さした。

右脇には浮き輪を抱え、左手にはビーチボール…

それを確認して、お互い顔を見合わせる。


「｢庶民の生活に触れるキング病｣」


「だな。」


「ですね。」


ハモった答えに二人で頷いたら、向日さんがあーあ、と頭を掻いた。


「六角のアイツが何言ったか知らねーけどよ、なんか魅力的に聞こえたんだろうな。
こうなったらもう止められねーし、他の奴らも乗り気だし…俺らも準備しねぇとな。」


そう言って｢オイ侑士ー！！部屋戻るぞー！｣と忍足さんを呼んだ向日さんの変わり身の速さにビビる。


よく見たら周りの皆も海に乗り気なのか、ご飯を食べ終えて部屋へと戻っていくらしい。



「……え、そんなに簡単に納得します…？」


一人、取り残された気分でそうポツリと呟くと｢すまんなぁ｣と笑いながら肩を叩かれた。


「忍足さん。」


「アイツはなんでも自分でやってまうからなぁ。

今日だけでええから、うちのキングの我儘に付きおうたってや。」


「あー…氷帝の皆さんはもう慣れっこって事ですか…」


「まーな。おいジロー起きろ！！お前も行くぞ！」


ジローさんを引きずる向日さんとこちらに手を振る忍足さんを見送ったら、どこに隠し持っていたのだろうか、青りんごの匂いがするガムをぷくっと膨らませながら丸井先輩が椅子を立った。



「んじゃ、俺らも部屋戻ろうぜ。」


「そうですね…なんかもう、止められそうにないですし。」



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