子供は海へ舟は水ーその18 ページ12
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次に見つけたのは渋い赤のジャージの群れ。
この海開きをした犯人、六角の皆である。
(あれ、あんなに海海って言ってたのに砂浜に皆いるなんて……)
そう思って駆け寄ると、真っ先に顔を上げたのは剣太郎。ぱぁっと顔を輝かせて、俺の手をいつものようにがっしりと掴んだ。
「A!楽しんでる!?」
「よかったなぁ剣太郎…お前が一番楽しんでるって顔じゃん…
ってか、皆で集まって座り込んでなにしてんの?」
「ふっふっふっ……俺たちはね、ただ海に入るだけが海水浴じゃないって知ってるんだよ…!!」
海に入らない海水浴の楽しみ方?
それなら俺にだって参加出来るかも…
そう思いつつ剣太郎に手を引かれてその輪に入っていく。
そこで俺の目に飛び込んできたのは、
「………な、なにこれ…」
「あ、A君!」
こちらを見てにっこり笑ったサエさんと、
砂をぺたぺたと固めている樹さんと、
絵に描いたような砂のお城だった。
だめだこれ。参加なんかできない。
レベルの高すぎる海遊びに若干の混乱を覚えるながら、俺は剣太郎の方を向く。
「け、剣太郎達の中ではこれが普通なの…??」
「?? うん、こうやって砂で色んなもの作ったり、貝掘ったりするんだよ!」
「サエは特別砂で城作るのが上手いんだぜ!」
バネさんが自慢げにそう言って、えへへと照れくさそうにしているサエさんに拍手を送る。
上手いとかそういう問題じゃない。手先が器用ってだけじゃそこまで作れないと俺は…思うんだけど……
「よかったらA君も作らない?楽しいよ〜」
「いや、俺がそんな芸術に手をつけるのは恐れ多いというか…そんなもの作れません…」
俺が慌ててブンブンと首を振ると、輪から外れた亮さんが「おーい 」と声を上げた。
俺たちがそちらを振り向くと、そこにはバケツで土を集めている天根さんと亮さんが。
「城じゃなくてもさ、山なら作れるでしょ?
A君もやってみようよ。」
楽しいよ?と微笑んだ亮さんの笑顔はすっごい優しそうだった。
いつもはクスクスと口端をあげてる笑顔しか見てないから、余計それが眩しく見える。
さらりと揺れた黒髪に目を奪われつつ俺が「俺も、やってみたい…です」と子供のようにもごもごと呟くと、
「じゃ、皆でおっきい山作るぞー!!」
と叫んだ剣太郎に痛いくらい背中を叩かれた。
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木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» コメントありがとうございます!本当に合宿編は終盤です…最後まで楽しんで貰えたらなによりです! (2019年1月17日 22時) (レス) id: 2e6823aea8 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - ルドルフ可愛い...合宿が終わるの寂しいですね。更新頑張って下さい! (2019年1月12日 1時) (レス) id: 8a79432f79 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» 久々の更新にも関わらず、コメントありがとうございます…!長い間ご迷惑をお掛けしましたが、今日から少しずつ更新できればと思います…! (2019年1月7日 23時) (レス) id: 2e6823aea8 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - 久しぶりの更新!いつも更新楽しみにしています!これからも頑張って下さい! (2019年1月7日 19時) (レス) id: 8a79432f79 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - キャラメルさん» お返事が遅れてしまいすみません!コメントありがとうございます!そう言っていただけると書きがいがあります…!これからもよろしくお願いします! (2018年10月8日 17時) (レス) id: 2e6823aea8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木こりのコロポ | 作成日時:2018年6月11日 21時