【テニプリ】聞く耳もたらすーその6【男主】

子供は海へ舟は水ーその19 ページ13

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こんなに大真面目に砂の山を作ったのは初めてだ。


変な達成感の中で、俺は額の汗を拭いた。



目の前にあるのは膝立ちしていると俺と同じくらいの高さの砂の山。

六角の皆にプロ並みの山作りの方法を教えて貰いつつ作ったので、かなりの出来だと思う。



「とは言っても、本当にただの砂の山なんだけど…」


「でっかくなったねー！」


「でもさ、なんか物足りなくない？」


亮さんの言葉に皆がうーんと唸って同意する。


何か無いものかと皆が顔を見合わせる中で、あっ！と声を上げたのはサエさんだった。



「トンネル通らせない？」


「！！」


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と、いうわけで。

俺とサエさんが山の左右から向かい合わせに中を掘っている。



(け、結構難しいな…！？)



掘っても掘っても上から砂がだらだらと落ちてきて、全然進められない。

俺がもたついているのに大してサエさんはだいぶ腕を進めているようだ。さすが。



「あ〜〜天根さん、全然進みません」


「頑張れA。サエさんを見ろ」


天根さんにそう言われてサエさんの方を見ると、なにやら手にたくさんの貝殻を持っているようだ。

その手をそのまま砂の山に突っ込んで、掘り進めて、手がトンネルから帰ってきた頃には手の中から貝殻は無くなっていた。


え、すごい。匠か？？

手早い動きに感心しつつ、真剣な顔で次の貝を掴んだサエさんを慌てて止める。




「サエさん、その貝どうやって使ってるんですか？」


「ん？ああこれ？
山の中に壁を作ってるんだよ。」


ふふ、と笑ったサエさんに、天根さんと二人で｢｢壁？｣｣と聞き返した。


そんな俺たちに笑ったサエさんは｢ちょっと見ててね｣と言って、手を砂の山の中へと入れる。



「海の砂ってサラサラだからさ、普通に掘り進めたら上手くいかないだろう？」


「そうですね…だいぶ苦戦してます」


「だから、こうやって掘り進めてから…

一番奥で持ってた貝を砂の中に埋めるんだよ。

そうしたら壁ができて、崩れにくくなるからね！」


ほら、と急かされてトンネルの中を見ると、

本当だ、全然崩れてない…！



「すげー！サエさん、さ………っ！！」



冴えてますね、と続けようとしてハッとする。

これは…と思い後ろに立つ天根さんと顔を見合わせて、頷いて、再びサエさんの方を向いて二人で声を合わせた。


｢｢サエさん、冴えてますね！！！｣｣



サエさんは苦笑してた。




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